
運転士のひとりごとunntennsino-hitorigotoプロフィールを編集
はじめに
指令と運転士。
お互いが正しい電車の情報を把握せずに運行させていました。
結果、線路を破壊して8時間以上も運転を見合わせてしまいました。
最後までご覧頂ければ、指令と運転士がどの様に行動したのか?乗務員目線で時系列が分かって貰えると思います。
この動画ではなぜトラブルが起こったのか?ニュース記事を引用しつつ、トラブルを深掘り・隠れた問題点・最後にの3点に絞って解説します。
それでは出発進行。

ニュース記事を引用
朝日新聞より引用です。
東新宿駅のポイント故障、連絡ミスで無理に通過が原因 東京メトロ:朝日新聞東京メトロ副都心線の東新宿駅で7月28日午後にポイント故障による運転見合わせが夜まで続いたトラブルがあり、同社は6日、指令所と運転士の間で連絡ミスがあり、保安装置を切った状態で電車を動かし、無理にポ…
引用終了。
トラブルを深掘り
話は渋谷駅からスタートします。
この日、東急東横線内ではダイヤ乱れが発生していました。
その為、副都心線と東横線の境界駅である渋谷駅では列車の行き先変更の取扱いが行われました。
今、東横線から到着した、急行第63K列車。

この駅から各停61K列車として運転するように指令は手配を行いました。

しかしながら東急からメトロへの運転士間の引継ぎは、急行63K列車である旨の引継ぎが行われることになります。

ここでなぜ運転士に対して変更した列車番号が伝わらなかったのか。
原因はダイヤ乱れによる混乱で東急からメトロへの指令間での確認不足によるものです。
で、電車は出発します。

その後、渋谷駅には各停の15K列車が到着するわけですが、この電車はここから急行63K列車として指令は手配しましたが、再び運転士には伝わらず渋谷駅を発車することになります。



さて舞台は東新宿駅に移ります。
まずは待避線側である4番線に指令は各停61K列車・運転士は急行63K列車と認識する電車が到着します。

続いて3番線に後続の指令は急行63K列車・運転士は各停15K列車と認識する電車が到着します。

さてここで指令は3番線側の急行を先に発車させようと無線を使って63K列車を呼び出します。
ところが応答したのは4番線側に停車している電車の運転士。

指令は3番線に止まっている電車に対して出発するように指示していましたが、4番線に停止している電車の運転士が自身の電車に対して指示されているものと誤認して東新宿駅を発車させました。

この時、東新宿駅の先にある転てつ器。
当然、指令が進路の制御を行っているので3番線からの電車を出発させるように転てつ器を開通させていましたが、4番線からの電車が来てしまったため、転てつ器を破壊した結果長時間の運転見合わせとなってしまいました。

隠れた問題点
とここまでのあらましを聞いて皆さんはこのトラブルの原因はどこにあると思いますか?
ちゃんと指示をしていない指令?
指示を聞き間違えた運転士?
問題は色々ありますが、運転士目線からしたら意味の分からないことが多々隠れています。
まずは渋谷駅。
ここでは運転士間での引継ぎが行われた訳ですが、東京メトロの運転士は急行であると引継ぎを受けました。
さて副都心線の急行電車。
渋谷駅を出ると明治神宮前、新宿三丁目、池袋と停車していきます。
勘の言い方はすでにお気付きだと思いますが、急行電車は本来東新宿駅には停車しません。

とはいえ先行列車がめちゃくちゃ遅れててイレギュラーな形で駅で止められてしまうことも0ではありません。
しかしながら本来は通過駅であるはずの東新宿駅でさらに停車列車専用の副本線側である4番線に進入させられている時点で、自分の電車が本当に急行電車なのか疑問に持たないのか私の感覚からしたら意味が分かりません。

さらにどこにも情報がありませんが、手前に北参道駅という急行電車は通過する駅があるのですが、この駅を運転士が本当に急行と勘違いしているなら当然通過したことになりますが、そうなれば公は各停として運転している電車が通過しているので、また別の問題が発生していることになりますね。

そして1番意味が分からないのが東新宿駅を出発するときのこと。
東新宿駅を出発させるとき、当然3番線からの電車を出すために4番線の電車は赤信号で進むことができません。

ところが今回、4番線の電車が発車したということで、当たり前のように非常運転が実施されていました。
本来、副都心線はATOによる自動運転ですが、この時保安装置が動作して4番線の電車が出発することが出来ませんでした。
なので一時的に、ATOの機能を切って運転士による手動運転が実施されました。

本来、なぜ保安装置が動作しているのかを確認して、発車させようとしてる電車が違うやんと気付かないといけないわけですが、それを運転士と指令がお互いに疎かにしてとりあえず非常運転させようって発想も大概ですが、ここからの運転士の行動が意味分かりません。
非常運転により出発させたとき、車内信号は急行のための信号80を受けることになります。
80キロまでスピードが出せまっせって運転士に指示するものですが、副本線から出発して前に転てつ器があるのが分かってるにも関わらず、なに呑気に出せるスピード限界までノッチを持ってるのか意味が分かりません。
結果、40キロ制限のところを66キロで通過してるのでマジで危ないですよ。
恐らく転てつ機を通過するとき電車はありえないぐらい揺れたと思うのですが、この揺れおかしくない?と思わずそのまま走って行ったのもすごいと思いますね。
で、転てつ器を割り出して破壊したわけですが、ちなみにこの時指令では警報が鳴りますが後続の電車を暫く通していたみたいです。
最後に
今回のトラブル。
おかしいと気付けるタイミングは何カ所かありました。
東急側から到着した電車の順番がおかしくない?
なぜ東新宿駅4番線に到着したのだろう?
なぜ保安装置が動作したのだろうか?
どこかのタイミングで運転士と指令が電車の位置と列車番号をお互いに確認し合えれば防げたトラブルでした。
トラブルはこういった形で起こるのは世の常ですが、それにしてもお粗末な内容だと言わざるを得ません。
しかも表立っていないような小さなトラブルを内包しており、ただ単に転てつ器を割り出したって一言で済むような事象でもありません。
なぜこんなことになってしまったのか今一度深く知る必要がありますね。

裏話
このトラブルを聞いて最初に思ったのはイケイケでやったんやろうなぁって感じました。
非常運転する場合ってめちゃくちゃリスクがあることで、簡単に脱線させたり、他の電車に衝突させたりできるので運転士1人に全責任が被さっています。
せめてこういうときぐらい添乗者を手配してから走らせるとかしないとなかなかこんなトラブルを防ぐのは難しいでしょうね。
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