初めに
さて前回、駅にある非常ボタンをいつ押すべきかについて解説しました。
今回は私が実際に非常ボタンをどんな時に押して、どんな行動をしたのか?
解説します。
それでは出発進行。
迷惑な酔っぱらい
ある平日の昼下がりのことです。
ホームで列車監視をしていたのですが、その駅は2面2線の駅、私と相方でそれぞれのホームの安全を確認していました。
私は電車がまもなく到着するので、電車が入ってくる方を監視していました。
時間も時間なので人が少ないなぁと思いながら監視していると、反対側のホームで黄色い線の外側を歩いていたサラリーマン風の人が足を踏み外して線路に転落。
うつ伏せで倒れていくのをスローモーションで見て、慌てて近くにある非常ボタンを押しました。
電車が接近していたので、私と相方は旗でそれぞれ電車を止めに行くと共に、手持ちのトランシーバーで1番ホーム前側人転落と連絡して直ぐに応援を呼びました。
幸いにも、電車はホーム手前で停止し、転落した人も近くにいた人の手を借りてホームに引き上げられ大事には至りませんでした。
後で聞いた話だと、その人はお酒に酔っていてホーム端を歩いていたら足を踏み外したと話していたみたいですね。
目の前で子供が…
朝ラッシュ真っ只中の時間帯のことです。
この日も列車監視をしていると、電車が到着して目の前でドアが開きました。
ドアの前にはお母さんと3つか4つぐらいの女の子が立っていて電車から降りようとしていました。
お母さんは右手に大きな鞄そして電車の中にキャリーバッグを残して、先に女の子を降ろすために左手で女の子の手を握り電車の中からホームに降ろそうとしていました。
お母さんは女の子がホームに降りたと思って手を離しましたが、実はホームに降りておらず電車とホームの隙間で手を離したが為に女の子はそのまま線路に転落しました。
大人なら足で引っかかってしまうような隙間ですが、小さな女の子だったので目の前から消えてしまいました。
正直、電車も止まってますし私が発車の合図を出さないと電車が動き出すことはないので、非常ボタンを押すべきか一瞬迷いましたが、線路に人が落ちたことと異常が発生していることを示して応援を呼びたかったので非常ボタンを押しました。
あとは女の子を引き上げるだけなのですが女の子は恐怖心から線路で泣き叫び、お母さんはホーム上で発狂。
かなりの修羅場になっていました。
腕を引っ張り上げたいのですが、めちゃくちゃ暴れていたので電車の高圧機器に当たったり、引き上げてる最中にホームとぶつかって怪我をするのではないかとヒヤヒヤものでした。
大丈夫やで~と声をかけて落ち着いて貰えるようにして、近くにいた他のお客さんと協力してなんとかホームに引っ張り上げることが出来ました。
この時には応援も到着し、女の子に怪我が無いことを確認して無事に事なきを得ました。
朝ラッシュで多くのお客さんが乗り降りする中で、荷物が多かったお母さんは慌てて女の子を降ろそうとして起こったトラブルでした。
死んだと思った…
平日の昼下がりの出来事です。
ホームにいると突然ドサッと物音が、周りを見渡すと線路をのぞき込んでいる人がいて、何かなぁと思いながら駆け寄るとなんと線路に人が落ちていました。
左半身が線路の上に乗る形で落ちていて、大丈夫ですかぁと叫びましたが落ちた人は無反応。しかも付近には血痕も落ちていました。
これは大変なことになったと思いながら、慌てて非常非常と叫びながら非常ボタンの所に駆け寄ろうとした所、近くにいた人が代わりに押してくれました。
もう一度落ちた人に声をかけましたがこの時も無反応。
横で一緒に線路をのぞき込んでいたおばちゃんに助けたってと声をかけられましたが私の返答は無理ですの一言。
というのもこの時には既にホームには電車が通過する旨の放送が流れており、電車の向かってくる方向を見ると大体200mぐらい先に電車が迫っていました。
私は頼むから止まってくれと思いながら、電車に向かって緊急停止しろと合図を出しながら走って行きましたが、無情にも電車は現場を50mほど行き過ぎて止まりました。
この時私は、あぁ間に合わんかった絶対にあの人は轢かれて死んだと思い現場に戻り、その人がいたところで電車とホームの隙間を覗きながら大丈夫ですかぁと声をあげるも返事が返ってこないのでその思いが強くなりました。
そうこうしているうちに応援の駅員も到着し、さらにたまたま駅を訪れていた警察の人も臨場しました。
全員で大丈夫ですかぁと声をかけますが当然返事は返ってきませんし、ホーム上にいたお客さんに聞いても誰もどうなったのか分かりませんでした。
唯一電車の運転士が警笛をかけながらいったら直前でギリギリホーム下に移動したと証言がありました。
対向電車も止まったことを確認して、何人かの駅員と警察が線路におりて確認するとホーム下で意識を失っている人がいるとなりました。
狭いホーム下でどうやって移動させて引き上げようかとしている時に、その人は意識を取り戻しなんとか自力で移動することが出来たので、そのあとホーム上に引き戻すことが出来ました。
この時には人身事故が発生したと連絡を受けたレスキュー隊も到着し、物々しい雰囲気の中その人は念の為病院に搬送されていきました。
後で話を聞くと、この人は酒に酔っていて誤って線路に転落。
その時頭を打って少し流血し意識を失う。
電車の警笛を聞いて意識を戻してホーム下に避難するも、再び意識を失ったのであろうと思われるとのことでした。
冷静に考えれば、人と電車が接触すれば凄い物音がするので、それがなかったということは接触していないってことなんですけど、鳴り響く非常ボタンの音、電車の本気の警笛、浮き足だつ周りの人の状況を考えるととても冷静な状態ではありませんでしたね。
今まで私が実際に経験した事象では幸いにも人が亡くなるといった悲しいことにはなりませんでしたが、どこかで歯車が狂っていれば悲惨な事態になったかもしれません。
それだけ非常ボタンを的確に押すことは大事なことであることを知って貰えたと思います。
裏話
2つめのエピソードの子供が線路に落ちたやつなんですけど、無事に助役に怒られましたよ…
なんで非常ボタンを押したんやと
電車止まってんねんから押さんでええんけと私が危惧したことを言われました…
はいすいません、落ちたんで押した方が良いかと思ってと弁明しときましたけど、いまいち納得してなかった感じでしたね。
でそれを休憩時の雑談で仕事の出来る先輩に愚痴ったら、そら非常ボタンを押してあたりまえやろって言って貰ってちょと救われた感じがしましたね。
コメント