閉そくの境界「絶縁継目」ってなんですか?【ゆっくり運転士の鉄道豆知識】

鉄道豆知識

誤って停止信号に突っ込んで行ったとき、運転士の生死を分けることになる絶縁継目。
止まった位置がこの手前か奥かによって会社は大騒ぎになります。
最後までご覧頂ければ、絶縁継目とはなんなのか?またそれが運転士にどう関わってくるのかを知って貰えます。
この動画では、絶縁継目って? ・生死を分ける絶縁継目・小さな差で大きな差の3点に絞って解説します。
それでは出発進行。

よく鉄道の閉そくとはなにかを問われる問題で、この様な回答を聞いたことはありませんか?
「閉そくとは、線路を一定の区間に区切り、その区間を一本の列車だけに占有させるシステムのこと」
この時、皆さんは一定の区間を区切りとは、どこのことを指しているのか疑問に思ったことはありませんか?
実はこの区切りの場所が絶縁継目なのです。
では実際の現場で確認してみましょう。
絶縁継目は大方、信号機が設置されている場所にあります。

信号機付近のレールをよーく見ると…

信号機が設置されている場所の線路をよーく見ると…
レールの継ぎ目がありますね。
ここが絶縁継目です。

ここが絶縁継目

一般的なレールの継目は普通継目などがあり、これらの継目は長ーいレールを敷設するにあたって短いレール同士を繋いでいる部分になります。

レールを長くするためのつなぎ目と…

一方の絶縁継目。
こちらは電車がどの区間を走っているかなどを検知するための軌道回路を構成するにあたって必要な設備になります。
そしてここにはこんな四角の箱。
インピーダンスボンドも設置されています。

軌道回路を構成するために設置されるつなぎ目があります(赤矢印はインピーダンスボンド)

これらの機器を1から説明するとそれだけで動画が1本作れるぐらい長くなるのでざっくりと話しますね。
一般的なレール継ぎ目は隣り合うレールどうしを電気的に接続して、レール間で電気を流し合っています。

普通継目は電気を隣のレールに直接流しますが…

ところが、レール絶縁部の継ぎ目はレールとレールの間に絶縁体を挟み、直接レール間での電気の流れをシャットアウトしています。

絶縁継目は直接流さず…

この時重要になってくるのが、インピーダンスボンド。
レールからインピーダンスボンドを経由して次のレールと電気的に接続します。
このインピーダンスボンドでは変電所→電車→変電所と流れる直流の帰線電流はそのまま次のレールに通し、各軌道回路間の交流電流はここでシャットアウトする役割を担っています。

インピーダンスボンドを経由します

こうすることで独立した回路を設置することができ、これで電車の居場所を知ることができます。
これらの機器があればここがレール絶縁であることが一目瞭然ですが、最近では目に見える絶縁がない無絶縁軌道回路を導入している路線も多々あります。
さてこの絶縁継目。
運転士にとって生死を分ける境界になります。

さてここで2つニュースを取り上げます。
1つはギリギリ助かっているパターン。
もう一方は助かっていないパターンです。

OBS大分放送より引用です。

JR久大本線の南大分駅で、普通列車の運転士が赤信号を確認せずに発車し、非常停止するトラブルが発生しました。
運転士は会社に報告しておらず、乗客からの情報提供で事態が明らかになりました。
下りの普通列車が赤信号で発車し、約40メートル進んだところで自動ブレーキが作動して非常停止しました。
現場は単線区間で当時、下り列車は信号機の約20メートル手前で停車。
上りの普通列車が南大分駅に接近していましたが、そのまま駅に進入したということです。

JR南大分駅で下り列車が赤信号発車 自動ブレーキ作動で非常停止 運転士は報告せず、利用者の情報提供で判明(OBS大分放送) - Yahoo!ニュース
8月29日午後、JR久大本線の南大分駅で、普通列車の運転士が赤信号を確認せずに発車し、非常停止するトラブルが発生しました。運転士は会社に報告しておらず、乗客からの情報提供で事態が明らかになりました。

続いて大阪メトロホームページより引用です。

Osaka Metro 谷町線 中崎町駅から天神橋筋六丁目駅間において、営業列車が停止信号機を約10メートル行き過ぎる事案が発生しました。
中崎町駅から天神橋筋六丁目駅に向けて運行中、駅間の停止信号機を約10メートル行き過ぎて停止しました。
その後、輸送指令の指示のもと天神橋筋六丁目駅まで運行しました。

Osaka Metro 谷町線 中崎町駅から天神橋筋六丁目駅間での停止信号の行き過ぎについて|Osaka Metro
Osakametroの時刻表、路線、乗換案内等、総合情報サイト。大阪市交通局はOsaka Metro(大阪市高速電気軌道株式会社)としてリスタートしました。「大阪メトロ」「大阪地下鉄」ではなく「Osaka Metro」と覚えてください!

引用終了。
どちらのパターンでも保安装置が動作したり、運転士のブレーキ操作により信号機の手前。
細かく言えば絶縁継目までに電車を止めに行こうとしています。

JR九州の方は報告せずに無断復帰したというとんでもないことをしていますが、それは横に置いておいて電車自体は信号機の手前で止まっています。
一方の大阪メトロ。
こちらは信号までに止まりきれずに次の閉そく区間に進入してしまっています。
この差は運転士にとって全く異なる未来をもたらすことになります。

絶縁継目を超える。
細かく言えば電車の1番前の車輪が絶縁継目を超え少しでも次の軌道回路に進入した途端、それは信号冒進になってしまいます。
こうなれば会社は大騒ぎ、やらかした本人はめちゃくちゃ怒られて、会社は国土交通省や世間にごめんなさいしないといけない案件になってしまいます。
本来はATCなり、ATSなりで運転士が絶縁継目を超えてしまわないように保安装置で守りに行くわけですが、残念ながら完璧なものではありません。
大阪メトロの事象のように絶縁継目までに止めきれず、次の閉そくに進入してしまうことはたまーに発生します。
なので運転士が万が一信号の指示を無視しても、保安装置が守ってくれるから大丈夫とは言えません。
今回はたまたますぐに電車や転てつ器がなくて良かったのですが、赤の停止信号ってことは次の閉そくに電車がいたり、転てつ器が正しい方向に開通していなかったりするわけで、かなり危険な状態には変わりありません。
なので私が言いたいことはちゃんと信号を見て、しっかりと信号機の手前で止まりましょうってことですね。
とはいえ気象条件でなにをやっても止まれないってことがあるのでなんとも言えませんが…
そんな特殊事情は置いておいて、この動画では運転士がうっかりやらかしたとき、絶縁継目を超えているのか否かその意味と重要性を知って貰えたと思います。

絶縁継目を車輪を超えるか否かは大きな差です

JR九州のようにやらかしても絶縁継目の手前で止まった場合、ぶっちゃけた話黙って復帰してもバレることがありません。
バレるとしたら今回みたいに密告があったパターンか、別件で車両のデータを取った時におかしくない?ってなる2パターンがあります。
でも停止信号の絶縁継目を超えた場合、その瞬間一発で関係各所にバレます。
なので黙っておくことはできないですね。

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