電車の2つの灯り これのルールって?

鉄道豆知識

知ってました?

電車には必ずあるこれ↓

左の電車は下側に赤いライト、右側の電車は上側に白のライト


皆さんは名前が分かりますか?
そう、前照灯尾灯ですね。
人によっては、ヘッドライトテールランプと答えられたかも知れませんね。
この2つのライトがどこに付けられているのか、同然ご存じですよね。
そうですね前照灯が前、尾灯が後ろですね。
じゃあこの2つのライトはいくつ必要かご存じですか?
大体の電車は2つ付いているので2つだろと思われたそこのあなた。
それは不正解です。
このライトには必要個数と、どの位置に付けないといけないのか明確な基準があります。
どんな基準なのか解説する前に、深く理解するため用語の解説をします。

用語の解説


前照灯と尾灯の必要個数を解説する前に、まずは用語の解説をします。
実は鉄道会社では、運転取り扱い的に、2つのライトを前照灯と尾灯とは呼びません。
なんと呼ばれているのか。それはそれぞれ前部標識後部標識と呼ばれています。
なので今回は解説の中で、前照灯のことを前部標識。尾灯のことを後部標識と呼称していきます。

どんなルール?


今回はいつも通りの鉄道に関する技術上の基準ではなく、その基準の内容を細かく解説する解釈基準から引用します。
この基準には前部標識、後部標識の欄にこう書かれています。

(1) 運転室を有する車両の前面には、白色の前部標識灯を車両中心面に対して対称の位置に設けること。なお、前部標識灯は、夜間車両の前方から点灯を確認でき、減光し又は照射方向を下向きに変換することができること。
(2) 列車の最後部の車両の後面には、後部標識を設けること。当該標識は、赤色の灯火もしくは赤色の反射板(後続列車の前部標識の灯光により標識の表示を認識できるものに限る。)とし、夜間車両の後方から点灯又は反射を確認できること。ただし、新幹線については、赤色の灯火二個以上を車両中心面に対して対称の位置に設けること。
(3) 車両の前面には後部標識灯と、又は車両の後面には前部標識灯と紛らわしい灯火を設けないこと。

要約すると。
運転室の前面には、中心から対称に白色の前部標識灯を設けて、必要に応じて減光出来るもの。

下側に前部標識灯 車両によっては上側にあることも


最後部には赤色灯または赤色の反射板を設ける。

赤く光ってるのでこれは赤色灯


紛らわしい他の灯火を設けてはならないと決められていますね。
電車は車と一緒で前部標識灯はハイビームロービームを使い分けるものを設置しなければなりません。
夜間は特に対向電車が来て、運転士が幻惑することを防止するために必要に応じてロービームに切り替えますが、基本は車と一緒でハイビームで走行します。
なので撮り鉄の皆さんごめんなさい。
で、後部標識には灯火もしくは反射板が必要であると書かれていますね。
灯火は皆さんご存じのこんな感じて光っているものですが、反射板ってご存知ですか?
反射板はこんな感じのやつですね。

これが反射板 自分では光っていない


貨物列車などに多く付けられていますね。
普通の電車は電気が通っているので、自身で発光する灯火を設置できますが、貨物列車は先頭の機関車には電気が通っていますが、後ろの貨車には電気が通っていません。
なので発光する灯火が設置できないので、その代わりに後続電車の前部標識灯が当たれば光が反射して存在を示す反射板が設置されています。
ここまで何を設置しないといけないのかを解説しましたが、まだ必要個数について解説していませんでしたね。
もう少し細かく見ると別の規定にはこう書かれています。
まずは在来線
前部標識は白色灯1個以上が必要です。
規定では1個以上ですが、大体の電車は2個以上ついていますね。
1つだけでええやんとはなると思いますが、基本的には念の為に2個以上ついていますね。
なぜかというと、一昔前の車両だと前部標識灯には白熱灯が使用されていました。
もし白熱灯の寿命が来ると前部標識灯が点かなくなってしまいますよね。
走っている途中でもし球切れで消えてしまうと、法律違反になってしまうのでそこから運転できなくなってしまいます。
なのでもし1つが切れても、2個あればもう片方が付いているので問題なく運転することが出来るようになっています。
まぁ最近の電車はLEDになってきているので、球切れの心配はする必要はありませんが、万が一の故障の場合もあるので、大体の車両は2個以上ありますね。
で、昼間は前部標識を表示しなくても問題ありません。
基本的にどこの鉄道会社も昼夜問わず表示していますが、会社によっては昼間は表示していない所もありますね。
いくら外が明るいとはいえ、少しでも列車の接近を気づかせるため、表示しておいた方が良いような気はしますけどね。

昼間は前部標識がついていないこともある


次に後部標識。
これは前部標識灯と違い、昼間と夜間とで表示方が少し異なりますね。
昼間は赤色灯又は赤色反射板1個
夜間は細々と書かれていますが、ざっくりと言えば一般的な電車は赤色灯又は赤色灯反射板2個以上と記載がありますね。
前部標識とは違い後部標識は昼間でも表示しないといけません。
後続電車の運転士から電車の存在を分かりやすくするためで、万が一の列車衝突を防ぐためのものですね。
で、後部標識は前部標識とは違い2個以上表示しないといけません。
でも後部標識はどの電車でも大体2個しか付いていません。
じゃあもし後部標識が球切れしたらどうしましょう?
このまま走るのは、昼間なら問題ありませんが、夜間なら法律違反です。
そんなときは赤く光るライトを持ってきて、無理矢理電車に取り付けて走らせないといけません。
私は1回だけありますね。
まぁ後部標識も最近の電車はLEDなのでほとんど切れることはありませんけどね。

後部標識は絶対にないといけない

ちなみに新幹線は、在来線とは違い個数の表記はありません
まぁ表示が消えてしまうと困るので、どの新幹線も大体は2個ずつ付いていますけどね…
こんな感じで一見なんとなく付いてそうなライト達も実は全てルールが決められています。
他の色々な部品達もルールの中で設置されています。
どんなルールがあるのかと考えながら電車に乗るともっと楽しくなるかも知れませんね。

裏話

前部標識と後部標識って、運転士や車掌が自らつけないといけないものと、勝手についてくれるものがあります。
勝手についてくれるやつならつけ忘れってことは無いんですけど、自分でつけないといけないやつなら、たまーにつけ忘れるんですよね…
特に新人が…
一応、法律違反になるので、写真とか取られて上に知られるとちょっと面倒やったりします…

コメント

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