鉄道運転士が前方不注意をした末路【ゆっくり運転士の鉄道ニュース】

鉄道ニュース

電車の信号無視はそのまま免停になるかも知れません。
そんなニュースが飛び込んできました。
それでは出発進行。

テレビ愛知より引用です。


JR東海によりますと、1月24日午後5時24分ごろ、大雪の影響で、踏切内にいた車が動けなくなり、その場にいたJR東海の係員が、非常ボタンを押し、停止信号が点灯。
しかし、列車はおよそ2分後に信号を無視して時速95キロメートルで通過しました。列車と車は衝突せず、けが人はいませんでした。
運転士や現場にいた係員からJR東海へ報告はなく、車の運転手がホームページへ問い合わせたことで発覚しました。
JR東海の調査に対し、列車を運転していた30歳代の男性運転士は、「メモを確認していて停止信号に気づくのが遅れた。誤りが発覚するのが怖く、衝突した感覚もないのでそのまま通過した」と話しているといいます。

JR東海の運転士が停止信号を無視して列車を走行 発覚恐れ会社へ報告せず (テレビ愛知) – Yahoo!ニュース

踏切からの異常を知らせる信号を運転士が見落としたことが今回のトラブルの原因ですが、なぜこんなことが起こったのか深掘りします。
踏切に設置された非常ボタンが操作された場合、何らかの方法で運転士に信号を現示します。
ポピュラーな方法としては特殊信号発光機又は動作反応灯に赤信号が現示します。

←特殊信号発光機                                                   動作反応灯→

これが最低限の設備で、このことは鉄道に関する技術上の基準にもその旨が記載されています。
運転士はこの赤信号を確認して電車を緊急停止させる訳ですが、今回のように見落とすことがあるかも知れません。
なので一部の鉄道会社では他の方法も合わせて安全を担保しています。
例えば、手前の信号機の現示を赤信号にすることで運転士が気付いていなかったとしてもATSを動作させることで強制的に停止させる。

阪急電鉄HPより引用

防護無線と連動させることで運転室内に警音を鳴動させる。
運転指令や駅に踏切に異常があることを通知して指令無線などを通じて運転士に知らせる
カメラにより踏切からの赤信号を検知して運転士に知らせる。

JR西日本HPより引用


などなど会社によって差はあれど複数の方法で踏切に異常が発生していることを運転士に知らせます。
ただ今回の場合は、純粋に運転士が前方注視して異常を発見しないといけなかった為、見落としに繋がってしまいました。
では運転士が全面的に悪いのでしょうか?

皆さんがこのニュースを聞いてまず真っ先に、前方確認していない運転士が悪いと思われるでしょう。
確かに前方を見ていない運転士が悪いのですが、実際問題としてずっーと前方を注視しているかと言われればそうではありません。

ずっと前方注視できる?

例えばスタフや時計を確認している瞬間。
車両などのトラブルが発生してモニターなど別の物を確認している瞬間。
車掌や運転指令と交信している瞬間。
ワンマン電車で車内放送している瞬間。
などなど前方を見ながら別の動作をしないといけない場面は多々あります
あとは意識が飛んでいたなどでしょうか。
前方の状態に注意を向けないといけないわけですが、100%集中できるわけではありません。
今回の場合はダイヤ乱れの影響により特別な指示がありそのことを確認していたとありましたが、これが本当のことであればあるあるって感じがしますね。
着発番線の変更によりいつもと違う運転方をしないといけないなぁとか、車両運用の変更により作業内容が変わるなど、これからのことを確認したり頭の中でイメージすることに意識が向いてしまうことは多々あります。
例えが正しいのか分かりませんが、皆さんが車を運転していて誤って事故を起こしてしまうこともあろうかと思います。
前方不注意で追突事故を起こしたり、意識を失って車線を逸脱して接触事故を起こしたり、一般の人だけでなく所謂職業ドライバーの方でも事故を起こしてしまうことはあると思います。
意識を保ってちゃんと前を見ていれば防げる事故だとは思いますが、言葉で云うのはたやすくてもそれを実行するのはかなりハードルが高いことですよね。
なので例えば、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報装置などでドライバーを支援して被害を軽減しようとしていますよね。
電車も一緒で前方を見て防ぐ以外の方法で運転士をアシストする仕組み作りが不可欠です。
その点では運転士も気の毒であったと感じてしまいます。
しかし全面的に運転士が悪いところもあります。

一言で言えば止まらなかったことです。
記事では気付くのが遅れてそのまま行ってしまったとありました。
ぶっちゃけた話、ブレーキを取り遅れて踏切を過ぎて止まったとしても、現場付近に止まっていれば後でなんとでも言い訳が立ちます。
全く怒られないわけではないですが、会社自身の保身のため運転士のこともある程度は守ってくれます。
大事にしたくないので上手く話を作って、チャンチャンにしようとするので処分もある程度の所で止まってくれます。
ただ今回運転士はワンちゃんにかけて現場を通過して黙っていたみたいですが、外部から通報されるという最悪の事態となってしまいました。
こうなれば関係各所への通報も必要になるので運転士の立場もかなりヤバいです。
例えば運転士の免許取り消しの基準には信号の停止信号を無視した場合の規定があります。
特殊信号発光機も立派な信号機なのでこの規定に引っかかる可能性があります。
停止信号の現示がある場合に、停止すべき位置を超えて列車等を操縦した者
で、主信号機関係でない。
鉄道運転事故はなし。

国土交通省HPより引用

注意3と4を確認すると、故意または重過失による場合は30日の3分の1である10日間の免許停止。
故意ではないと認定されかつ自発的報告があったとされたら処分はなし
となります。

国土交通省HPより引用

今回はどうするのかは報告書次第って感じですかね。
これが行政的な処分。
次は会社からの処分を考えないといけないですね。
運転士を干されるのか、反省文ぐらいで許してくれるのか、会社のさじ加減ですね。
会社からそんなに処分がなかったとしても、神経が太い人なら良いですがいたたまれなくなって退職。
みたいなこともあるかも知れません。
先程車を例に挙げましたが、電車も一緒でやらかしたときはもうしょうがないのでその場で止まって関係先に連絡するのはとても大事なことです。
ワンちゃんにかけてもいいのかも知れませんが、このご時世色んな所に何らかの形で証拠が残っていることが多いです。
あとでバレたときのリスクが一番ヤバいのでその場で正直に話すことの大事さを知らされたニュースでした。

信号ってマジで見にくい所は多々あります。
というか見えないときもあります。
これが物理的な話。
後は気象条件ですね。
朝日、夕日の太陽が当たっている。
雨、雪が降っている。
車と一緒で、一時的に信号機が見えなくなる時があると思うのですが、あれと一緒ですね。
ただだからと言って止まらなくても良いとはならないですね。

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