難易度ベリーハード!! 運転士が運転しにくいと感じる電車の特徴3選【ゆっくり運転士のひとりごと】

ひとりごと

何気なく皆さんが乗っている電車でこんな電車はありますか?
制御方式が古い混編成効きが良すぎる
この特徴を持つ電車は運転士が運転しにくいと感じています。
一癖も二癖もある電車で運転士の力量が試される訳を解説します。
それでは出発進行。

電車の制御方式は数あれど大まかに分けると3つに分けられます。
抵抗制御、チョッパ制御、VVVFインバーター制御。

抵抗制御                   チョッパ制御                VVVFインバーター制御

ざっくりと言えば電車を加速させるためにモーターに電気を流す量を調節する装置のことを言いますが、これらの装置は電車を減速させるためにも使用します。
基本的には1番新しいVVVFインバーター制御が運転しやすくチョッパ制御、抵抗制御と続きます
特に運転しにくいと感じるのはブレーキをかけたときです。

ブレーキのかかり方によって運転しやすいしにくいがあります

運転士が電車を止めるためブレーキをかけると電気ブレーキと空気ブレーキが作用します。
2つのブレーキの効き方は車両により異なるのですが、一般的にはモーターを逆回転させて負荷によりブレーキを効かせる電気ブレーキで低速域まで減速させて、その後車輪に制輪子を押し当てブレーキを効かせる空気ブレーキに切り替わります。
VVVFインバーター制御電気ブレーキが良く効き、車両によっては空気ブレーキを使用せず電車が止まりきるまで電気ブレーキを効かせられる場合もあり、高速、中速、低速域まで全ての速度帯において安定的に速度が落ちてくれるのでめちゃくちゃ運転しやすいです。
そしてチョッパ制御
ひとことで言えば安定性が低いです。
先述したようにブレーキをかけると電気ブレーキがかかって低速域で空気ブレーキに切り替わると記述しましたが全てこれに当てはまるわけではありません。
電気ブレーキは電車の運動エネルギーをモーターを使って電気エネルギーに変えているわけですが、この変換する過程にあたって十分に変換できていないときがあります。
運転士がブレーキをとったステップ分、電気ブレーキによるブレーキ力が足りていなかった場合、空気ブレーキが追加でかかってきます。
この追加で空気ブレーキがかかってくる割合がVVVFインバータの場合と比べて多い気がします。
なので、空気ブレーキのアシストが入ったり抜けたりしてその度にブレーキ力が変わってきますし、乗り心地も悪くなるので運転しにくいなと感じてしまいますね。

電気ブレーキと空気ブレーキの組み合わせによって電車を減速させます

そして最後に抵抗制御
こいつの利点は架線が原因による回生失効がないぐらいしかありません。
電気ブレーキには回生ブレーキと発電ブレーキの2種類があります。
今の時代、発電ブレーキは古い電車か特殊な事情がない限り使用されておらず、大体は回生ブレーキが使用されています。
先程の2つの制御方式だと回生ブレーキを使用しており、ブレーキにより作った電力を架線に返して他の電車が使っている訳ですが、使ってくれる電車がいないと架線に電気を返せません。
となると回生失効して空気ブレーキに切り替わる訳ですが、この抵抗制御だと自身の電車の抵抗器を使って電気エネルギーを消費する発電ブレーキの電車の可能性が高く、そうなると架線の電圧に関わらず電気ブレーキを効かせることが出来ます。
とまぁいい感じに書きましたが、抵抗器を使って電気ブレーキを効かせるがため低速域では電気ブレーキを使用することが出来ません
なので、低速域では空気ブレーキに切り替わることになり、この切り替わった瞬間ブレーキ力が弱くなったり、強くなったり車両によって様々な性格を見せてくれます。
空気ブレーキに切り替わったらブレーキが弱くなる車両なら、多めにステップを取った状態にしないと停止位置目標に止まれなくなります。
逆に切り替わって強くなる車両なら早い目にステップを減らしておかなければかなり手前に止まってしまうことになります。
大体速度20~30キロぐらいで切り替わるのでそれまでに車両の特性を考慮したブレーキング技術が要求されます。

さてここまで制御方式の違いによる運転のしやすさしにくさを解説しましたが、1つの制御方式の電車を運転するならまだ運転しやすいです。
時に電車は様々な種類を連結して運転します。
全く同じ形式の電車を連結しているならいざ知れず、異なる形式、異なる制御方式の電車をつないでいると運転の難易度が上がります

前後で別の電車を繋いでいると…

基本的には電車の形式ごとにブレーキの癖があってさらに個体ごとにも若干の誤差があります。
例えば、ブレーキを入れた瞬間にブレーキが効く子もいれば若干の時間がかかる子。
高速、中速、低速域それぞれのブレーキの効きやすさ。
電気ブレーキから空気ブレーキに切り替わってからの効きやすさ利きにくさ。
色んな癖があって混編成になるとお互いの特性を考えたブレーキング技術が要求されます。
しかも異なる形式を繋いでいると、お互いの癖の差が乗り心地の悪化に繋がります。
1つの例として、前後で別の形式を連結しており、前はブレーキが効いてくるまで時間がかかるが、ブレーキは良く効き最後まで電気ブレーキが効く。
一方後ろはすぐにブレーキが効くがあんまり効かないそして途中で空気ブレーキに切り替わるみたいな組成をしているとします。
この電車を運転した時にブレーキを取った場合、まず初めに後ろに引っぱられる感じでブレーキがかかります。
で、ブレーキが効いてくれば前の方が良く効くので後ろから押してくるような感覚になります。
そして自分の運転しているところでは分かりにくいですが、後ろが電気ブレーキから空気ブレーキに切り替わる時には切り替わりのショックが発生します。
言葉で表すのが難しいのですが、感覚で電車を止めに行っているのでブレーキをかけている途中で感覚が変わる混編成は止めにくいと感じてしまいますし、後ろの車両のショックを考えてブレーキを調整するのも技術が要求されます。
なので運転しにくいと思ってしまいますね。

前後の特性を考慮したブレーキングが要求されます

同じブレーキステップを取ったとしてもどれだけブレーキが効いてくるのかは形式ごとに異なります
良くブレーキが効く形式、あんまり効かない形式。
そして同じ形式の中でも良くブレーキが効く編成、あんまり効かない編成。
程よく効いて止まる電車は運転しやすいですが、あまりにも効きが良すぎる電車は運転しにくすぎます。
一見するとブレーキが効かない電車の方が運転しにくいように感じられるかも知れません。
確かにブレーキが効かなさすぎるのもイライラしますが、いつもよりブレーキポイントを手前にしたり、少し強い目にブレーキを入れることで対処することが出来ます。
一方ブレーキが効きすぎる電車。
逆パターンでブレーキポイントを奥にしたり、弱いブレーキにすればええやんと思われるかも知れません。
確かに理論上はそうなんですが、これには色々問題があります。
まずブレーキポイントを奥にした場合なのですが、一昔前なら全然問題はありませんでしたが今はATS-Pの時代。
ブレーキポイントを奥にすると問題がある駅があります。

ATS-Pに注意

前方で停止信号が出ている駅に止める場合、速度照査パターンと言って電車が停止信号までに止まれるように何メートル手前で何キロ以下、何メートル手前で何キロ以下と目に見えないシステム上での速度制限があります。
この速度制限は基本的には余裕を見て設計されているので、電車の性能の限界まで攻めた運転をしているとこの速度制限を超えてしまうときがあります。
さらに各停車駅に対して信号の現示に関係なく、停車の速度照査パターンを設定している鉄道会社なら各駅で速度照査が行われます。
この速度制限を超えたときの電車の挙動は会社によって異なりますが、非常ブレーキなり常用最大ブレーキの介入があります。
で、このパターンに当たってしまってしまうのは良くないわけで、ブレーキポイントを奥にするとパターンに当ててしまう可能性があるのであんまり奥に出来ないわけです。
では逆に弱いブレーキにすればどうでしょうか。
いつもブレーキステップを5まで取っているのを4にするわけですが、これはこれで問題があります。
まず5まで取ったときはその後、4→3→2→1と4回ブレーキを緩めるチャンスがあります。 
ところが最初から4だと3→2→1と3回しかチャンスがありません。
ブレーキを何回も入れ直すような運転でもいいならどうでもいい話ですが、一回ブレーキを入れたら後は抜いて止めたいのが運転士の性。
ブレーキを抜ける回数が少ないのはちょっと運転しにくいと感じてしまいます。
いつもと違うことをするのは感覚が違ってくるのでそこのギャップをどうやって埋めるのか?運転士の力量が問われますね。
さてこんな感じで運転士が運転しにくいと感じる電車の特徴について解説しました。
こんなことが皆さんが電車に乗られたときに当てはまったときは運転士が苦労してるんだなぁと感じて貰えれば幸いです。

以前、電車の故障でブレーキステップを取った時1であろうが2でろうが、5ぐらいのブレーキ力がかかる電車を運転することになりました。
ばかほどブレーキがかかるんですよ。
でステップを減らしても、強いブレーキ。
なのでブレーキ入れる→全緩め→ブレーキ入れる→全緩めみたいな運転になりましたね。
もう終わってましたww

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