はじめに
頻発する異線進入。
誤ったのは指令員だとしても、責任は運転士に被せられます。
運転士が見落としてしまった信号はなんなのか?
実際の現地に赴き、解説します。
それでは出発進行。

さて私がやってきたのは、新大阪駅のお隣のJR京都線東淀川駅。
ここから今回キーポイントの信号機を確認することができます。
トラブルがあったのは2026年4月6日午後6時頃。
大阪発おおさか東線経由、普通久宝寺行き。
この電車は新大阪駅を発車して南吹田駅を目指して進んでいきます。
ちょうど今やってきた電車と同じですね。

そして運転士が見落としたのがこの信号機。

一見何の変哲も無い信号機ですが、信号機の下にある2つの表示灯が大きな意味を持っています。
この表示灯の名前は、その名を進路予告機と言います。
この予告機は分岐がある信号機の1つ手前の信号機に設置されていて、鉄道用語的に言えば、主信号機に従属して進路を予告するものになります。
めちゃくちゃ簡単に言うと光っている場所によって次の進路が分かるものになります。
この1つ先にある信号機が、おおさか東線方向に進んでよいとなっているのか?それとも貨物線方向なのかを運転士に知らせるものになります。
ちなみに左側に分岐するおおさか東線なら左側の表示灯が、まっすぐ進む貨物線方向なら左右両側の表示灯が点灯します。
参考として今みたいに両側が消灯しているとき、その場合は次の分岐の信号機が停止現示で進路が開通していないことを示しています。
さて信号が変わりました。
進路予告機は左側のみが点灯。

この先の分岐はおおさか東線へと進路が取られたことが分かります。
この進路予告機が付属している信号機を越える場合、喚呼の仕方は会社により差異はありますが、どこの鉄道会社でも「閉そく進行。予告、おおさか東線」みたいな感じでなんらかの喚呼が用意されています。
運転士は信号機を確認して喚呼して、自分の電車がこの先どこに進んでいくのかを想定しながら、必要に応じてブレーキ操作をしつつ分岐に備えることになります。

では1つ先の信号機を確認しましょう。
トラブルがあった直後のせいか。
車掌さんが顔を出して進路を確認してますね。
意識が高い。
見にくいですが、青く進行信号が点灯しているのがおおさか東線へと向かう進路の信号機。
赤く停止信号が点灯しているのが貨物線へと向かう進路の信号機になります。

両方が赤くなりましたが、低い位置にある方がおおさか東線。高い方が貨物線です。
電車は左側へと分岐していき、おおさか東線へと向かいます。
というのが、正しい電車の進路。

このトラブルでは誤ってしまいました。
こんな現示だったわけですが、違いがわかりますでしょうか?

進路予告機は両側が点灯していますね。
つまり先の分岐は貨物線へと進路が取られたことが分かります。
今回、運転士は右側も点灯していることを見落として進んでしまったことになります。
って話しをすると運転士の怠慢やろと言われるかも知れません。
それはそうなんですが、個人的には仕組みもあんまりよくないと思いますよ。
先述もしましたが、規則的に左に分岐するときは左側が点灯。
直進は両側が点灯ってなっているわけですが、いずれの場合にしても左側は点灯してるんですよね。
左側が点灯しているとしか頭になければ誤認するのも致し方がないと感じてしまいますね。
本当に大事なのは左側に分岐するときは右側が消灯しているってことを確認しないといけないわけですが、これは誰も教えてくれませんからね…
とはいえ進路予告機を見逃したとしても、次の分岐の信号機を確認してから止まれればギリセーフです。

理想を言えば信号機の直下地上子までに。
最悪信号を超えたとしても、転てつ機の遠隔操作が可能な位置までに止まれれば助かりますが、今回はバックさせているのでがっつり超えて行ってしまったことが推察されます。
ちょうどあの貨物電車が進んでいる進路を進んだことになりますね。

では実際におおさか東線の電車に乗車してどんな風景なのか確認しましょう。
新大阪駅を出発します。
この電車は久宝寺行き。
次の停車駅は南吹田です。
信号機がいっぱい見えていますが、見るべきはこの線路の延長線上左側にあるやつ。

そして上下に分かれているわけですが、下側は京都線に合流する線路への信号機。
特急はるかは下側の信号機を使用しますが、この電車は東線へと向かうので上側の信号機に従って進みます。
さて次が問題の進路予告機がついた信号機。
なのですが、いったん手前の中継信号を確認します。

で、この中継信号機の位置で、進路予告付きの信号機を確認します。
カメラでは見にくいですが、肉眼ではこの位置からも十分に視認することができます。
撮影日は曇りの日なので条件的には1番良く、トラブルの日も曇りでこんな感じだと思います。
右下に分岐の信号機までの残り時間をカウントします。

分岐の信号機を確認する位置は残り22秒付近の位置。

電車は60キロ前後で走行、221系の常用最大の減速度は3.5km/h/s。
計算上、17秒で止まれます。
ここで気付けばギリセーフでした。

そうすると分岐の信号機の直下地上子手前で止まれたので、指令に進路が違うと報告すれば事故を防いだ英雄になれます。

ただ今回は後退させる手続きが取られたので、かなり行ってしまってから気付いて止まったんでしょうね…
こうなればいくら指令が電車の進路を取り間違えていたとしても、確認して運転しなかった運転士の過失になってしまいます。

この日は大和路線内で人身事故が発生した加減で、おおさか東線も影響を受けていたのでしょう。
指令がダイヤを触ってミスが発生したものと推察されますが、運転士からしたらえらいとばっちりです。

昔のように一個一個手作業で進路を取っているような時代なら運転士も気を付けますが、全てプログラムの時代。
大丈夫であろうという油断が、こういった進路誤りというトラブルを起こしてしまうのがよくわかるトラブルでしたね。
進路予告機、マジ大事。

裏話
実は私も進路予告機を見落としたことがあります。
言い訳をするとしたら、異常時でバタバタしてたのもありますし、他に確認する箇所が多い所なんですよ…
勝手に着発番線を変更されていたのを知らず進んで、流石に分岐の信号機で気付いて止まって報告をしました。
結果的には別にそのまま進んでも問題はなかったんですけどね…
気付いた時には死ぬほどビビりましたよ…なのであんまり人のことは叩けないですね…

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