ワンマンがゆえに…お客さんが列車から降りたらそこは草だった【ゆっくり運転士の鉄道ニュース】

鉄道ニュース

電車が駅に到着しお客さんが降りたらホームが無かった…
そんなニュースを知っていますか?
ワンマン電車がゆえにのトラブルですが、絶対に防ぐ方法はありました。 
でも実際にはそんな再発防止策はとられない鉄道会社の現実を知って貰えたら幸いです。
それでは出発進行。

27日午後10時5分ごろ、鹿児島市田上町のJR広木駅で、上り普通列車(4両編成、乗客約150人)の最後尾の車両がホームにかかっていない状態で停車し、20代の男性運転士がそのままドアを開けるミスがあった。
降りようとした10代の女子高校生が約1・7メートル下の草むらに転落し、顔や腕などに擦り傷を負った。

毎日新聞より

編成両数誤りは運転士をしていて絶対に1度は経験することと言っても過言ではありません。
同一車種、同一両数が多い地下鉄ならいざ知れず、多くの鉄道会社では様々な車種、様々な両数の電車がやってきます。
例えば、JR東海道線の東京圏の普通電車は10両や15両編成。
特急電車は8両、9両、14両。
中京圏の普通電車は4両、6両、8両。特急電車は4両、6両、9両。
関西圏の普通電車は7両、快速電車は8両、12両、特急電車は3両、5両、6両、9両、12両と様々な長さの電車がやって来ます。

1つの路線でも色んな長さのでんしゃがやってきます

1つの路線で様々な電車が運転されている場合、それぞれの電車の長さや種類に応じて駅のどこに電車を停めるのかが異なってきます。
例えば、14両と10両は同じ位置に停めるけれども15両はホームの1番前に停める、逆に短い9両は手前に停める。
でも〇〇系はまた別の位置に停めるなど、ややこしい駅になると何個停止位置目標があるねんってぐらい分けられている場合があります。
で、これだけ沢山停める場所があると運転士が勘違いして、本来停めないといけない停止位置目標とは別の停止位置目標に電車を停めてしまうミスを編成両数誤りといいます。
なんで間違うねんと言われると絶対にこれが原因だと確定することは出来ません。
手抜き、誤認、勘違い、気をとられるetc。
手順で定められた編成両数を視差確認せずにいつも通りに停めにいったといった運転士に直接的に非がある場合もあれば、ホーム上のお客さんの動静に気をとられて停める位置を間違えたなど、それで運転士が責められるのはちょっと…と感じてしまう原因もあります。

どこに停めるのかはその駅次第です

編成両数誤りはちょくちょく発生するトラブルなのですが、一般的な電車で運転士が編成両数誤りを起こしてしまった場合でも、今回のような事態が発生することは考えにくいです。

編成両数誤りを起こした場合、電車は所定の停止位置よりも奥に止まるor手前に止まることになります。

奥に停まってしまった…
手前に停まってしまった…

ホームドアがあるような駅では電車とホームのドアの位置を合わせないといけないので、いつもと違う位置に止まると電車は停止位置を修正しないといけません。
しかしホームドアが無い駅で奥に止まった場合、電車はホーム区間に停まっていることになるのでそのままドアを開けることが出来ます。
電車待ちで並んでいたお客さんには無駄に移動させることになるので迷惑をかけますが、運転取扱い上大きな問題が生じることはありません。

奥で停まった場合そこでドアを開けることが出来ますが、整列乗車しているお客さんには迷惑をかけることに…

ただ会社によってはちゃんと停止位置の修正をする場合もあります。

ちゃんと停止位置を修正する場合もあります

一方、手前に止まった場合
この時、電車の後ろがホームから外れていることが高確率で起こります。

手前に停まると高確率で後ろがホームに入っていません

例えば15両編成を担当しているのに10両の停止位置目標に止まった場合、最大で5両分電車の後ろがホームから外れています。
一般的な運転士と車掌が乗務するツーマン電車だと車掌の位置がホーム区間にないので、車掌は明らかな異変に気付いて運転士に対して停まっている位置間違ってまっせと連絡して、電車を前に移動して貰ってドアを開けることが出来ます。

ツーマンなら異常に気付くことができるが…

ところが今回トラブルがあったのは運転士1人が乗務するワンマン電車
運転士のミスに気付くことが出来る車掌が乗務していなかったので、編成両数を誤ったことに気付かずドアを開けてしまいました。

ワンマンだとミスに気付く人がいない事態に…


電車を定められた停止位置よりも手前に停めてしまっていたので、案の定ホームから外れたドアがありそこからお客さんが転落してしまったということになりました。

このトラブルを防ぐために絶対的な手立てはなかったのでしょうか?
あるとすれば1つだけ、それはホーム検知装置を取り付けることです。
ホーム検知装置とは主にワンマン電車に取り付けられている物で、電車が駅に着いたときの左側又は右側のどちら側にホームがあるのかを検知する物になります。
元々この装置は、ワンマン電車で運転士がドア扱いをする際、誤ってホームと逆のドアを開けてしまうことを防止するために、ホームがない側のドア操作を行った場合でもドアが開かないようにするために作られた装置になります。
で、この装置は電車の前側と後側に検知器が設けられており、双方の検知器がホームを認識した側のみドア操作が可能になるので、今回のようなトラブルの場合前側の検知器はホームを認識していますが、後側は認識していないので運転士がドアを開ける操作をしたとしてもドアが開くことはありません。
とまぁこんな仕組みでトラブルを無くすことを会社が考えてくれたらいいのですが現実はそう甘くはありません。

基本的にこの様なトラブルが起こった場合、よくある再発防止策は運転士への指導を徹底しますってなります。
指導を徹底されたことでトラブルがなくなればいいですが、人間によるヒューマンエラーは無くなりません
しかも編成両数誤りは度々起こるミスであり、機械的な仕組みを取り入れないと同じトラブルは防げません。
まあ残念ながら口では安全第一を掲げる鉄道会社でも現実では金を出したくないからお客さんから見えないところは気合いでなんとかするのが現状です。
こんなことを私が言うのはいかがなものかと思いますが、電車から降りるときはちゃんとホームがあるのか皆さんの目で確かめて貰った方がいいのかも知れませんね。

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