はじめに
関西駅員の若手やらかしあるある。
不可理由問い合わせをしないが為の悲劇。
関西駅員しか知らないことを解説します。
それでは出発進行。
面倒な仕様
不可理由問い合わせ。
皆さんはこの言葉を聞いたことがないと思いますが、とあるICカードを処理するためには必ずやらないといけない一手間です。
これをやらないが為にお客さんに多大な被害が出ることになります。
さて、そのカードとはPiTaPaカード。
PiTaPaカードをお客さんから預かってカードを処理する場合、なにはともあれまずは処理する機械で不可理由問い合わせと言うボタンを押す必要があります。
なぜかというとこのPiTaPaだけに備え付けられたある機能にその原因があります。
そう、それがポストペイシステム。
これが悪さをします。
通常のICカード。
例えばICOCAやSuicaの場合、どこから電車に乗ってどこで降りて運賃はいくらで残額はなんぼであるというのは、カード内に書き込まれそこで完結します。
ところがPiTaPaカードはカード内に情報が書き込まれるほか、改札機を通じてデータセンターにもカードの利用状況が記録される仕組みになっています。
というのも普通のICカードは事前にカード内にお金をチャージして、そのチャージ金を使って電車に乗ると思いますが、PiTaPaカードは一ヶ月間に利用した電車代を後日、口座引き落としで精算するといったポストペイシステムを採用しています。
イメージで言うとクレジットカードみたいな感じですね。
なので後日利用者に請求するために電車の利用状況をデータセンターに記録する必要があります。
ちなみにここで話しをさらにややこしくしていることがあって、PiTaPaカードはポストペイシステムを採用していて後日、電車代を精算すると言いましたが、これは関西圏のポストペイ対応エリアの話しであって、PiTaPaカードを関東圏で利用する場合など、ポストペイを対応していないエリアで利用する場合は事前にお金をカード内にチャージする必要があります。
さて話しを戻してポストペイのPiTaPaはなぜ不可理由問い合わせをしないと行けないのか深掘りします。
不可理由問い合わせをしないと行けない訳
お客さんがICカードが使えないと改札で申告がある場合、総じて前回の利用記録がICカード内に書き込めていないことが多いです。
ICOCAやSuicaで前回、自社路線を利用して中途半端な記録になっている場合、一旦全部消して前回乗った電車の情報を入れ直してあげる。
そうすれば前回分の精算も出来て、カード内の情報も正しくなるので再びICカードを使用することが出来ます。
さてPiTaPaカードも同じようにカード内の情報を一旦消して、再度入れ直す。
これで一件落着かと思われるかも知れませんが、お客さんが後日PiTaPaの請求書を見てビックリ‼
なんと身に覚えのない運賃が引かれているではありませんか…
なぜこんなことが起こったのか?
それは不可理由問い合わせを行わなかったからです。
というのも再び記述しますが、ポストペイシステムを採用しているPiTaPaはカード内とデータセンターの2箇所に電車に乗った記録が残されることになります。
なので改札機へのタッチが上手くいっておらずICカード内に正しく情報が記録できていなかったとしても、データセンターには正しい情報が記録されているときがあります。
ICカード内の情報とデータセンターの情報に差違がある場合、運賃請求はデータセンターの情報が正として扱われるので、ICカードの情報を修正する必要があります。
なので駅員はICカードを処理する端末で、不可理由問い合わせといったコマンドを選択するとICカード内の情報とデータセンターの情報に差違があった場合、自動的に修正するようになっています。
これでICカードをお客さんに返せばOKです。
でももし不可理由問い合わせをせずにICカードに前回分の乗降データを書き込むと、ICカードには残っていないけどデータセンターに残っている分と、今回入れ直した分で2回分運賃をお客さんに請求することになります。
詰まるところ2重請求しているわけですが、もし乗降データを書き込んだあとに不可理由問い合わせをやってなかったと気付いても後の祭り、もうその場でデータは修正できないのでお客さんに謝ってPiTaPa事務局とやり取りをするハメになります…
この書類作成と助役へのごめんなさいがマジ面倒くさいんですよ…
ちなみに駅員がミスに気付いてなかったら、あとはお客さんが請求書を見て気付かなければ闇のなかになります…
あまり大きな声では言えませんが、自分のミスに気付いてもワンチャンこれにかける悪い駅員もいます…
話は戻って不可理由問い合わせを行ってもなんの変化がないときもあります。
この場合、データセンターにもデータが残っていないってことになるので、前回分の乗降データをカード内に書きこんでも大丈夫です。
ただデータを書き込んだ日時に電車を乗ったと後日請求書で請求されるので、その旨お客さんに案内する必要があります。
じゃないと見知らぬ日に見知らぬ区間の運賃を請求されたと無駄なご意見を貰うことになります。
ポストペイシステムは後日運賃を請求する加減でデータセンターにも乗降データが残る仕様となっています。
なのでカード内とデータセンターとの情報に齟齬ができ、齟齬を直そうとした結果無駄なトラブルを生む可能性のある取扱い注意なカードでもあります。
新人の頃は先輩に口酸っぱく不可理由問い合わせをしろよと言われますが、ついつい忘れてしまって怒られるはかなりのあるあるです。
それを防ぐためにPiTaPa以外のカードでも1番最初に無条件に不可理由問い合わせをして体に叩き込ませるといった事故防止をする人もいるぐらいです。
今回はそんな不可理由問い合わせのお話しでした。
裏話
ポストペイシステムって少し前までは関西の私鉄でしか使えないものでした。
元々はスルッと関西カードという磁気カードを置き換える目的でPiTaPaが導入されたのでその名残だったんですよね。
ただ最近JR西日本エリアでもポストペイシステムが使えるようになるってまさかのサービス範囲が拡大されてかなり驚きましたね。
だってICカードではガラパゴスのポストペイシステムですからね…
ゆくゆくは全国で使えるってなると駅員の被害がますます広がりそうですねww
ただ私が使うなら一々チャージしなくていいポストペイシステムは好きなので複雑な心境ですww
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