鉄道会社の2024年問題? 人手が1割足りない!!→13連勤だ!! 大手・中小関係ない現実…【ゆっくり運転士の鉄道ニュース】

鉄道ニュース

はじめに

どこの業界でも人手不足が叫ばれる中、鉄道会社の人手不足も深刻です。
ワンマン化・自動運転化で乗務員の必要数を減らそうとしていますが、それよりも離職者の数が上回る悪循環。
10年後には今より酷いことになっているのかもしれません。
そんなニュースが飛び込んできました。
それでは出発進行。

ニュースを引用


とさでん交通は8月14日から31日まで、路面電車の平日の便数をおよそ1割減らして運行しています。
とさでん交通によりますと本来の平日ダイヤを運行するために必要な運転士は99人ですが、離職者などが相次ぎ現在は87人で対応しています。
さらに先月以降、新型コロナの感染者が相次いで出たこともあり、減便を決めました。
現在は通常の運転に戻しているみたいですが、ニュース記事から1日電車を運転するためには99人の人手が必要な所、87人しかおらず1割強、足りていないことになります。

テレビ高知より

このニュースを聞かれて皆さんはことの重大性にお気付きでしょうか?
地方鉄道やから都会に住んでる自分は関係ないと思ったそこのあなた。
以前、都会の某大手鉄道会社で13連勤があたりまえであると大きな話題になりました。
察するにギリギリの人手で運行してて、社員に無理をさせているわけですがどこかでは破綻します。
その現実を直視して下さい。

1割いないと?

必要人員の1割がいないとどうなるのか?皆さんは考えたことありますか?
普通の会社なら1人分の仕事ををみんなで分け合ったりして対応できるかもしれませんが、電車を動かすためには基本的に絶対に人を用意しないといけません。
当然誰かが泥を被らないといけません。
では実際の勤務に当てはめて見ましょう。
今回は分かりやすくするために、泊まり→日勤→泊まり→休→休で1週間がローテーションするとします。
とある人の勤務がこんな感じ、月曜日に泊まり、火曜日明け、水曜日日勤、木曜日泊まり、金曜日明け、土日曜日が休みになります。

とある人の勤務がこんな感じ

別の人は、火曜日泊まり、水曜日明け、木曜日日勤、金曜日泊まり、土曜日明け、日月曜日が休みになります。
こんな感じで考えると都合7グループに分けることが出来ます。

他の人はこんな感じ

各グループ10人が所属していると考えます。
この場合任意の曜日で考えると、常に5グループは働いているので50人が仕事、2グループの20人は休みになります。

水曜日に働いている人は?

で、電車を動かすために1日の必要人員数が50人だとすれば、表面上は皆が完全週休2日制で働くことが出来ます。
ではここから1割いなくなったと仮定しましょう。
各グループの所属が9人となってしまいました。
5グループの合計は45人となるので必要人員に対して5人不足しています。
このままだと5人が担当する電車を走らせられなくなります。
運休しちゃう?会社はそんなことは考えません。
なんとかして人をかき集めます。
では休みの2グループの18人のうちから5人誰か休日出勤させましょう。

本来は休みのグループ5の人が休日出勤しないといけません…

そうすれば必要人員が確保出来ますね。
さてこれで万事解決でしょうか?
残念ながら重大な見落としがあります。

労働者の権利は…

皆さんが働いているとして休みは週2日だけですか?
違いますよね。
会社からは有給休暇が付与されていると思います。
なので有給で休みたい人がいますよね。
他にも怪我や病気で長期間乗務を外れないと行けない人
さらに鉄道会社では女性の乗務員を増やしてきているので福利厚生の一貫で産休や育休を取りますし、男性でも育休を取ることが増えてきています。
個人的な理由以外では、会社の研修で電車に乗ること以外の業務をする日があります。
あと最近はどこの会社でも定年が延長されていると思うのですが、定年延長した再雇用者は働く日数を減らすことを希望する人がいます。
そうなれば見かけ上の人はいてるのですが、働く日が減っているので誰かが変わりに乗務しないといけません。
まぁこんな感じで足りない人手が出てきます。
この人数は日々変動するので絶対に何人だとは言えませんが、肌感覚的にその日に働く予定の1割はいてないものやと考えた方が安パイですね。
これで先程のルールに当てはめると、働く予定の5グループの45人の1割なので4人が休むと仮定すれば、追加で誰かが休日出勤しないといけません。
都合これで9人分の休日出勤が必要になるわけで、休みの2グループの内、1グループ分の全員が休日出勤しないといけないことが確定しました。

グループ5は全員休日出勤することになりました…

これが毎日続くことになるわけですが皆さんやっていけそうですかね?
なんの対策も打たなければこの状態が何ヶ月、何年と続いたら、週休1日で一生このままですが耐えれそうですかね?
では休日出勤を断りますか?

噂の13連勤…

基本的に休日出勤をお願いされた場合、労働基準法的には正当な理由がないと拒否することが出来ません。 
この正当な理由がないといけないというのが厄介で、家事をしたいとか買い物に行きたいとかプライベートなことでは断れないっていうのが法解釈です。
さらに休日出勤の依頼は数日から数週間前に言われるので、家族の体調が急に悪くなって看病しないといけないとか、自分の体調が芳しくないとか、正当に断れる内容でもその時点で休日出勤をする日にそうなるとは予測できるものではありません。
あとここは会社の温度感があるので一概には言えませんが、ベテランは無理、やらんと一言で済ませれても、若手は会社での今後の立ち位置を考えて断りにくいっていう空気感があったりもします。
さて先程の仮定に戻って、休日の内の1つのグループの全員が休日出勤する予定ですが、その中の誰かが休日出勤を断ったとしましょう。
そうすればもう1つのグループから誰かが休日出勤をするわけですが、この人の2日休みは無くなりさらに次週も最低1日、休日出勤があるのでこれでめでたく13連勤が出来上がるわけです。

グループ4から休日出勤するとこの人は13連勤することに…

で、こんな職場で皆さん働きたいですか?
最初はまぁしゃーないかと機嫌良く働いていたとしても、体は正直です。
お金は貰えるとは言え、休みが少なすぎて嫌やと感じる人は一定数います。
なので逃げ切れる若手を中心に退職していくわけですが、退職されたらされたで他の人の労働環境はさらに悪くなって余計に退職者が出る負のループになります。
こうなるのか否かは会社の考え方によって変わります。
例えば休みを取りたい人や会社の都合で乗務しない人は1日一定数いるから、それを見越して人員配置しようと考える会社なら1グループ12人配置にし60人の人手があるようにして、もし余ったら予備勤務にしようとします。
ところが余分な人員は嫌や社員に働かせればいいと考える会社はギリギリの人員で対応することになります。
人が足らなくなれば新規採用すればええやんと思われるかも知れませんが話しはそう単純ではありません。

人手不足はすぐに解消されません

そもそも運転士という仕事は採用されてから運転士になるまでの期間が長くかかります
早いところでも1,2年長いとこだと最低4,5年経たないと運転士になれません。
なので人が足らなくなったらすぐ補充出来るわけでは無いんです。
さらに地方鉄道を中心に運転士の給料が安いです。
個人的には泊まり勤務で体を壊すことをやらされ、お客さんの命を預かってと言われる割になんでこんなに安いのか疑問しかありません。
要因の1つとして個人的に思うのは、地方に行けば行くほど兼業農家で働く人がいて給料が低くても農業で収入があるって場合があります。
このパターンはある程度の年齢がある人の場合が多いので、若い人は会社から貰う給料だけなのでとてもじゃないけどやっていけないって世代間の考え方の違いが一因かなぁと思いますね。
そんなこんなで地方に限らず、都会の鉄道会社でも人手不足は日々進行しているのですが、会社はその事実を世間に公表することは稀です。
1番の解決策は電車の本数をがっつりと減らすことですが、世間の目を気にして経営側はそんなことを簡単にはしません。
結局は働いている人にしわ寄せがいっているわけですが、これからはバブル入社組みが大量定年を迎えます。
そこが大きなターニングポイントになるのでしょうが、鉄道の人手不足はあまり知られておらず露呈したときは既に時遅しかも知れません。
この現実を少しでも多くの人に知って貰えれば幸いです。

裏話

もし鉄道会社で働きたいと思っていたのにこの話を聞いて怖くなってしまった方。
1つアドバイスできるとしたらOB・OGの方の話を聞きに行って下さい。
あと出来たら複数の人の話を聞きに行って下さい。
駅・乗務区etc同じ会社でも働いている場所によって労働環境は大きく左右されます。
なので少しでも多くの人の話を聞いてその会社が人手に対してどう考えているのかを見極めて貰いたいと思います。

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