はじめに
電車の遅れ。
一昔前は分からなかったことでも現代では全て丸見え。
客からのプレッシャーで運転士は疲弊しています。
このままではあの事故と同じことになってしまうかもしれません。
それでは出発進行。
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アプリは便利?
近年、どこの鉄道会社でも導入されつつある公式アプリ。
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運行状況、経路検索、駅構内案内などお客さんにとって便利な機能が無料で使えるのが好評で多くのお客さんにDLされているわけですが、特に運転士にとって少し困る機能があります。
その困る機能というのが、列車走行位置案内。
今、電車がどこを走っているのか、1本1本の電車の居場所を表示する機能で、会社からの案内は列車遅延時などに使うことで、次の電車がどれぐらいで到着するのかの目安になりますよ~っとアナウンスされています。
そして会社によっては電車の形式ごとに表示を変えていたりするので、鉄オタの皆さんには必須の機能かもしれませんね。
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さてこの列車走行位置案内。
よーく見ると、電車のマークの横に何やら気になる数字が書いてあります。
この数字が皆さん何か分かりますか?
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1やら2と書かれたこの数字。
これはその電車が書かれた時間分遅れていますよとお知らせしてくれるものになります。
大体の鉄道会社は電車が3分遅れたらお詫びの放送を行うので、普通のお客さんには3分以上遅れると電車が遅れていることを認識する感じですが、アプリで逐一確認する人なら1分以上遅れると知られることになります。
で、この1分も遅れているぞとお客さんに知られることで運転士には心理的なプレッシャーがかかってきます。
1分のプレッシャー
電車が1分遅れていると知って皆さんはどう感じるでしょうか?
大体の人は気にしない、又はまぁ1分ぐらいならしゃーないぐらいの温度感でしょうか?
朝ラッシュ時でギリギリの乗換えをしようとしている人にとっては少し不安に思われるかも知れません。
とはいえ、99%の人は直接何かアクションを起こすことはありません。
しかしながらごく一部の人はこの1分の遅れに対してクレームをつけてきます。
昔は駅の時刻表と自身の時計を常に睨めっこして遅れているぞとクレームをつけてきていたような人が、一々そんなことをしなくとも今は簡単にスマホを見れば分かるので簡単にクレームをつけることが出来ます。
電車から降りるタイミングでわざわざ運転室までやって来て、遅れてるぞって文句言われるのはなんかちょっと腹が立ちます。
で、次回同じ電車を担当したときに、前回こんなこと言われたなぁと変なプレッシャーを受けることになります。
私はしょーもないクレームは無視するタイプなのですが、真に受けてしまうような人は遅れさしてはいけないと無理をした運転をしてしまう可能性はあります。
こういった無駄なプレッシャーを運転士にかけるとゆくゆくどうなるのかは、過去の鉄道事故の事例をみていても明らかです。
そもそも1分程度の遅れを運転士の責任だと考えているのはお門違いも甚だしいです。
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1分遅れの訳
皆さんは電車が1分遅れる原因は何か分かりますか?
その原因は総じてお客さん起因であると言い切っても過言ではありません。
人身事故や車両故障など、何かトラブルがあって電車が遅れているならいざ知れず、なんのトラブルも発生していないのに電車が数分遅れているのはお客さんの乗り降りに原因があるか、会社が適切な停車時分を考慮出来ていない場合が殆どです。
1つのドアに固執してなかなか乗り切れない。
自分が乗りたいドアを選り好みする。
駆け込み乗車を待たざるを得なかった。
駆込み乗車によってドアを開け直した。
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などなど1つずつは小さいことですが、こんなことをされると1駅10秒~20秒。
下手をされると30秒以上遅らされてしまいます。
こういう小さな積み重ねで電車は1分、2分と微妙な遅れが発生することになります。
途中駅で長時間停車があれば遅れが戻るんですけどね…
単純に運転だけでこの遅れを戻そうとすると普通電車ならなかなか厳しいものがあります。
通過が多い電車もスジが立っているとまぁ無理ですね。
こうして遅れた電車は周りの電車にも微妙な遅れを波及させることになります。
で、この微妙な遅れをガマンできないお客さんは誰かに文句を言いたい衝動に駆られるといったメカニズムになります。
お前ら客側が悪いんやぞと言いたいわけですが、とてもそんなことを言えるはずもなくただただ言われっぱなしになります。
お客さんからしたら遅れたら戻せよってことなんでしょうがそれには一定のリスクがあります。
遅れは戻すべきか?
基本的に最近は電車の遅れに対して回復しろといった指導はされません。
というのも遅れは許されないって会社からプレッシャーをかけると、悲惨な事故に繋がりかねないって言うのは共通認識であるので、そういった回復運転してなんぼやっていう指導はありません。
とはいえ電車が微妙に遅れていると戻したいと思うのが運転士の性。
また人によっては遅れるなとプレッシャーをかけてくる運転士もいます。
遅れを戻すにあたって運転士は限界まで加速してトップスピードを維持、駅に止めるときは強めのブレーキで一気に止める。
車掌は乗降が終了次第直ちにドアを閉める。
保安装置を動作させるリスク、駅を過走するリスク、ドアにお客さんを挟むリスクを冒したとして、普通電車で一駅10秒縮められたら良い方です。
時間に余裕の無いダイヤにされていると回復するのはほぼ不可能っていっても過言ではありません。
遅れが回復出来ないダイヤなら遅れていく一方なので、お客さんの乗降での協力は定時運行にとても大切になります。
それができなかった結果、電車は1,2分の遅れが発生して運転していると言ったことになります。
個人的にはアプリには遅れの謝罪を行う3分以上で表示を行うようにして貰いたいことを切に願っておきます。
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裏話
ちなみにこの遅れ。
お客さんに謝罪する基準である3分を超えると事情聴取の対象です。
この時「なんかあったん~?」って聞いてくれる人なら良いですが、「なんで遅れたんや💢」って聞いてくる人ならちょっとイラッとしちゃいますね。
○○駅で乗降が長引いてそのあとも多客で少しずつ遅れていって~って言うだけですが、後者のような聞かれ方をすると、客のせいやのになんでこっちが責められなあかんねんと少し反抗したくなる衝動に駆られてしまいます…
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