踏切を無謀横断した人のせいで…【ゆっくり運転士の鉄道ニュース】

鉄道ニュース

はじめに

踏切が鳴り始めたにも関わらず進入する人いますよね。
というか遮断桿が閉まり始めてるのに渡ろうとする人もいます。
まぁあなたはいいかも知れませんが、電車の中でどんなことが起こってどれだけ迷惑がかかっているのか知らないでしょ。
乗務員の怒りです。
それでは出発進行。

踏切が鳴り始めたら止まりましょう

なにがあったのか?


毎日新聞より引用です。

12月12日午前7時40分ごろ、JR大阪環状線で電車が緊急停止し、乗客の男女計2人が転倒するなどして負傷し、救急搬送された。
近くのJR桜島線の踏切で線路内への立ち入りがあったため、周囲の電車に緊急停止を促していた。
踏切でのけが人はなかった。
JR西日本によると、大阪市此花区にある桜島線の踏切内に男性2人が立っているのを運転士が発見。
非常ブレーキをかけ、周囲の電車に緊急停止を促した。
男性2人にけがはなく、踏切から立ち去ったという。
大阪環状線では緊急停止により、車内で男性が転倒、女性が他の乗客に足を踏まれた。
2人は最寄りの野田駅で下車して搬送された。

毎日新聞

なぜ環状線が緊急停止?

勘の良い方ならご存じだと思いますが、環状線には踏切はありません。 

環状線の踏切は廃止になりました

ではなぜ踏切の無謀横断で緊急停止したのか、それは防護無線が発報されたからです。
防護無線というのは電車の運転台に備え付けられ電車の運転を支障するような事態。
今回で言うと、踏切を渡りきれなかった人が線路内で立ち往生しているので、対向の列車を緊急停止させるために出される信号のことを言います。
で、防護無線が対向列車だけに届くならいいのですが、残念ながらそういった物ではありません。
防護無線が発報されると、半径数キロ圏内の電車全てに緊急停止の信号を出すことになります。
これは防護無線が電波を利用しているので、その範囲にある電車に信号を出すことになります。
さらに地形上の条件、例えば山の上など高い所から防護無線を発報すると、数キロと言わずもっと遠くまで信号が出てしまうことがあります。
なので桜島線に直接の関係のない環状線の電車が緊急停止してしまうのです。

防護無線は運転台にあります

そしてこの防護無線の緊急信号を受信した電車は、目の前に異常があるかも知れない状況にあるので速やかに電車を止めるため、基本的には非常ブレーキを使用することになります。
そうなればどうなるのか?
電車が急ブレーキをかければ、かなりの衝動が発生するので転倒したお客さんが怪我をするのは致し方がありません。
電車が止まるときにブレーキを緩めればええやんと思われるかも知れませんが、緊急信号を受信したら1秒でも早く止まると言うのが基本的なルールです。
もし停止間際にブレーキを緩めてゆっくり止まった結果、事故を防げなかったとなれば運転士が全責任を負うことになっちゃいますからね。
ただ会社によっては目の前に異常がなければブレーキを緩めながら止まってもいい場合もありますし、そもそも1回非常ブレーキをかけると止まるまで何も出来ない場合もあるので、取扱い方は様々です。

乗務員的に何が困るのか?

やっぱり怪我をされたお客さんがいるっていうのが1番困ります。
お前が急ブレーキをかけて怪我をしたんやぞとお客さんから責められますし、説明したところで納得してくれるかどうかも分かりません。
怪我をした人が多いってなればそれだけ救急車を手配したり、駅に引き継いだりやる仕事がめちゃくちゃ多くなります。
でその結果、余計に電車が遅れて他のお客さんから文句が出る…
なにも良いことはありません。
無謀横断する人はこんな事態が起こっていることを知らないと思いますが、あなたの軽率な行動で多くの人に迷惑をかけていることを自覚して下さい。
あと電車に乗る際は緊急停止するときもあるので、身近な手すりやつり革につかまって貰えるようにお願いします。

立つときはつり革・握り棒に掴まって下さい

裏話

防護無線を受けたときの取扱い方って本当に鉄道会社で様々なんですよね…
直ぐに緊急停止して絶対に動かさない会社もあれば、最徐行で最寄り駅まで走ったり、気にせず走ったり本当に会社によって様々です…
運転士的に一番は動かさないが一番助かるんですけどそうするとお客さんからのクレームが…
でも防護無線を受けてる中走って事故ると全責任は運転士にありますからね。
それは理解してもらいたものですね。

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