絶対に無くならないトラブル 人を引きずる→刑事罰・民事罰に? 小田急新松田駅【ゆっくり運転士の鉄道ニュース】

鉄道ニュース

車掌が1番怖い事故
死亡事故に繋がる恐れもあり、そうなれば車掌の手が後ろに回ると言っても過言ではありません。
ただ車掌1人で防ぎきることも困難であり、お客さんの協力も必要です。
お客さんとして電車に乗るときに気をつけて欲しいことも解説します。
それでは出発進行。

神奈川新聞社より引用です。

小田急、新松田駅で扉に乗客挟んだまま15メートル走行 70代の男性がけが 「目視の安全確認が不足」(カナロコ by 神奈川新聞) – Yahoo!ニュース

お客さんを挟んだまま電車が動き出す。
どこの鉄道会社でも数年に1回は発生するトラブルです。
今回のように報道されるのか否かはお客さんに怪我があるのかどうかが大きく関わってくるわけですが、最悪の場合死亡事故に繋がることもあります。
お客さんが挟まったまま電車が動けば今回のようにほぼ確実に転倒することになり、その転倒したときに頭を打ち付ける、そのまま引きずられてホーム端の柵などに体を打ち付けるなど、人が死んでしまう要素が満載です。
なので車掌は電車を動かして良いよと運転士に合図を送る前にはドアに人や物が挟まっていないことを確認する。
そして万が一挟まっていたにも関わらず電車が動いた場合には直ちに電車を止める必要があります。
今回はお客さんを引きずるまでは行きましたが、早めの停止手配が取られたので最悪の事態は避けることが出来ました。
皆さんには色々疑問に思われたことがあると思いますので1つずつ解説しましょう。

少し電車に詳しい人ならこう思ったことでしょう。
なぜドアに指が挟まったことを検知できなかったのかと。
確かに電車のドアには物が挟まったときにドアが閉まっていませんよと検知する仕組みがあります。
車掌が車掌スイッチを操作してドアを閉めることをしたにも関わらずドアが開いている場合、車掌は車両横の車側灯が消えない、運転士は運転席の戸閉め灯が点かないことで車両いずれかのドアが正常に閉まっていないことを確認することが出来ます。

車掌は車側灯が消えたことを
運転士は戸閉め灯が点灯したことを確認します

ところが今回、人の指をドアに挟んでいるにも関わらず検知することが出来ませんでした。
ここに一般人と鉄道員の大きな認識の差があります。
一般の人からしたら物が挟まった場合、エレベーターのように直ちに挟まりを検知してドアが開くと思われるでしょう。
しかしながら電車のドアはエレベーターのそれとは全く構造が異なり、ドアに異物を挟んでいると認識するためには2~3cm以上の物を挟まないと機械的に認識することが出来ません。

車側灯が消えたからと言って安全であるとは言えません

今回手を挟んだと言うことですが、手をパーの状態で挟んだとして皆さんの手の厚みを測って貰いたいのですが、残念ながら3㎝を超えるような人はそういないと思います。
しかも細い人なら腕の太さでさえ検知できる厚さ以下かもしれません。
鉄道員は一般的な通勤電車のドアの構造上、細い物を挟んだとしてもドアは異物を挟んでいると検知できないのは重々承知しているわけですが、お客さんはそうではありません。
とりあえずなんか挟んだらドアが開くやろうと勘違いしている人が大勢いるわけで、車掌としては大きな悩みの種の1つになります。
ドアが検知できないのは分かった。
じゃあなんで車掌はそれを見ていないねんと今度は思われるかもしれません。
確かに見ていなかった車掌が悪いのは間違いありません。
でも見えなかったとしたらどうでしょうか?
肩を持つようですが小田急さんはドアが閉まってから電車が動き出すまで、車掌が安全確認をしっかりとしている会社といっても過言ではありません。
悪い言い方をすればいつになれば動き出すんだと思ってしまうほどです。
この取り扱い方をしているのは、過去に同種のトラブルがありその対策としてしっかり確認する取扱いが行われています。
さてここで皆さん電車の長さを考えたことはあるでしょうか?
別報道で6両編成の電車で先頭車で挟まれたと記載されていました。
小田急は1両20m。
そうなると100~120m先で挟んでいることになります。

あなたはこの電車の先頭が見えますか?

では実際問題として120m先で手を挟んでいると、肉眼で気付くことが出来るでしょうか?
私の感覚からすれば条件が良ければ見えるといった温度感になります。
条件が良いというのは、直線ホーム・昼間・人が少ないといったことが揃ったときになります。
今回のトラブル。
まずホームですが新松田駅は待避ができる駅構造のため、1番線は曲線、2番線は直線になります。
で、時間帯は18時過ぎ。
ホームに電灯があるとはいえこの時期は既に日が落ちており周りは暗めです。
そしてちょうど夕ラッシュにかかる時間帯になるので、電車から降りたお客さん、次の電車を待つお客さんでホームは混雑していたことが予想されます。
以上のことより車掌はホーム上の安全確認を行うにあたって見通しが悪かったことが推察されます。
でそんな中、指だけが挟まれた旅客を発見しないといけないわけですが、腕を伸ばした状態で体本体は黄色い線上にいたのか、それとも電車に肉薄する形で立っていたのかは判別としませんが前者であれば余計に発見しにくいですね。
先述もしましたが黄色い線の外側、通称Lゾーンに人がいる場合は小田急では電車を発車させない旨のルールがあることを知っている方もいらっしゃると思います。
Lゾーンとは点字ブロックの外側から電車までの空間のことを言い、ここに人がいる場合電車を発車させない取り組みを行っています。
車掌はこの取組みを行った上見落としてしまったのか?はたまたいつまで待っても離れず電車が遅れる懸念から出発させたのか?は続報を待たないといけませんが、いずれにしてもお客さんに怪我を負わせたという事実はかなりの大事です。

小田急は安全にはうるさい方の会社でしたが…

ドアに挟まった客が転倒して怪我をした。
今回の一件を文字に起こすとこれだけですが話はかなりややこしいです。
まずこの車掌は会社だけではなく社会的に罰せられる可能性があります。
今回はたまたま怪我をした程度で済みましたが、もしさらに引きずっていたとすると命を落としていた可能性すらあります。
そうなればもう会社が守りきれることは無く、警察に引っ張って行かれます。
容疑として高いのは業務上過失傷害罪又は過失致死傷罪
裁判の結果実刑が下る可能性すらあります。
さらに会社は会社で民事上遺族から多額の賠償請求をされたり、関係官庁から怒られたりもします。
ドアに挟んで引きずるのはそれだけ怖いことでもあります。
今回はたまたま怪我ですんで不幸中の幸いであり、見落としてしまった車掌の過失は重大な訳ですがこのトラブルを車掌1人で防ぐことは正直不可能です。

今回のトラブルがなぜ起こったのかといった詳細は記載がありませんでしたが、指だけ挟んで電車が動いたときに転倒したことを考慮すると、外から駆け込んでドアに手を挟んで空けて貰おうとした旅客ではないかと睨んでいます。
先述の通り電車のドアをエレベーターのドアと勘違いしている人が多いわけですが、今から電車のドアは信号と一緒であるという説を説きたいと思います。
ドアが開いている状態は青、閉まり始めた状態は黄、閉まれば赤。
こう言うと、閉まり始めて黄色なら突撃しろとなるかも知れません。
しかしながら道交法上、黄色信号は停止位置を超えて進行してはならないと定められているわけで電車も一緒です。
ドアが閉まり始まれば点字ブロックを超えて電車に近づいてはならない。
やむを得ず乗り込もうと電車のドアに足を踏み出していた場合のみ電車に乗ることが出来る。
こんな感じでルールを決めて欲しいまであります。
こうすれば自然に駆け込み乗車は減り、お客さんは点字ブロックの内側で待ったり、移動したりすることになるので安全が担保することが出来ます。
車掌が安全確認しないといけないのはその通りなのですが、残念ながら見えない駅は多く、どこの会社でも同様の事象は定期的に発生しています。
ドアが閉まりかけているにも関わらず、突っ込んで行く人がいるために起こるわけで、ドアが閉まり始めたら乗り込まない。
車掌の安全確認を行うために、ドアが閉まれば電車から離れて黄色い線の内側で待つ。
安全のためにご協力頂ければ幸いです。

ドアが閉まり始めたら黄色い線を超えることはやめましょう

今回のトラブル。
引きずっただけって思われそうですが、普通に人身事故です。
普通の人身事故なら専用軌道の電車に突っ込んできた方が悪いよねっていうのが慣習ですが、今回はそうならないので話がややこしいです。
怪我をしてしまったお客さんもそうですが、トラブルを防げなかった車掌にもなにも良いことがないので、無理な乗車は本当にやめて貰いたいですね。

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