払い戻しさせないために運転士が本気で電車を走らせている?
って話しを皆さんは聞いたことないですかね?
それ半分本当で半分嘘です。
なぜなのか?運転士の裏話を解説します。
それでは出発進行。
120分の壁
119分遅れと120分遅れ。
たった1分の差ですが、この差は会社にとってもお客さんにとっても大きな1分になります。
皆さんが特急電車や新幹線に乗った場合、時として電車に遅れが発生するときがあると思います。
乗車券とは別に特急料金を取る電車がもし120分以上遅れれば、特急料金は全額返金しますといった規定になっています。
この規定は会社によって異なり、60分から払い戻しがかかる場合もあります。
さらに最近は一般電車の一部を座席指定にして座席指定料金をとる会社もあると思います。
この場合はややこしくて、座席指定料金は座席を提供する料金なのでどれだけ遅れても払い戻しは行わない場合もあるので注意が必要です。
話しを戻して、120分遅れた場合お客さんにとっては電車が遅れたのでお金を返して貰うのは当然の権利だと思われると思いますが、会社にとっては一列車で何十万、何百万というお金を返金しないといけなくなり大きな損害になります。
逆に119分遅れの場合、お客さんにとってはなんでこんだけ遅れているのにお金が返ってこないんだ、119分も120分も一緒だろと憤慨され、一方会社にとっては特急料金と言う大きな旅客収入を得ることが出来ます。
そんなこんなでこういった話しが出回ります。
運転士が意地でも速く走って119分遅れにしているのではないかと…
半分本当で半分嘘
運転士が意地でも119分遅れにしてる説。
これは半分本当で半分嘘です。
というのも会社にとっては特急料金を払い戻すのか否かは収入に関わる一大事ですが、正直運転士にとってはなんの関係もありません。
だって120分遅れを119分遅れに出来たら会社から褒められるとか報奨金が出る…
こんなことはありません。
なので119分遅れで走ろうが、120分遅れであろうがなにも運転士的には変わらないので正直どうでもいいことなんです。
逆に無理に回復運転をして保安装置を働かせたら怒られる原因になりますし、119分遅れにしたら車内で車掌がお客さんに怒られているかもしれないので、お客さんに返金しなくていいように速く走ろうとはなりません。
とここまでが嘘な訳ですが、速く走ろうとする人もいます。
速く走るわけ
電車を運転するにあたって運転士は色々と考えているわけですが、人それぞれ考え方があります。
例えば運転士の中には遅れに関してめちゃくちゃシビアな考え方を持っている人がいます。
こんな人は数秒の遅れも許されず意地でも定刻で走ろうとします。
というのも1本の電車が遅れるとなると後ろを走る電車が追いついて遅れますし、通過待ちや連絡待ちしている電車も遅らせることになります。
遅れが自分の電車だけで完結すればいいですが、周りにも影響が出ることは必至なので周りに迷惑をかけてはならないと言う意識から、少しでも遅れを減らしたいと頑張って速く走ろうとします。
別の例としては早く帰りたい、休みたいと考える人もいます。
ダイヤ乱れが発生すると誰もがイレギュラーな勤務になります。
勤務終了間際でダイヤ乱れが発生してしまって、予定の終了時刻を超過してしまっていたとしたら、ちょっとでも早く乗務区に帰って仕事を終わりたいと思ってしまいます。
休憩時間でご飯を食べようと思っていたのに、ダイヤ乱れで休憩時間が削られて食べられなかったとかとなれば、少しでも速く走って次の休憩が例え1分でも長く取れるようにしたいと考えたりします。
こんな感じで運転士は色々と考えるわけですが大体の場合、自分の時間を確保するためなるべく早く電車を走らせて、その結果120分以上の遅れがいつの間にやら119分遅れになっていたって場合があります。
速く走ったのに…
とまぁこんな感じで上手く回復運転出来ればいいのですがそうそう上手くいくものではありません。
よくあるパターンとしては、前の電車がターミナル駅で乗務交代するのに交代者が全然来なくてずっーとホームに止まっていて、後続の電車は駅の手前で待ちぼうけを食らわされる。
指令が電車の存在を忘れていて信号を出してくれないなど、様々な理由で戻した遅れが元に戻るどころか余計に遅延時分を増やされることも多々あります。
なので110分遅れで走っていたのにいつの間にやら120分以上に遅れて、全額返金になってお客さん的にはラッキーなことになったりもします。
個人的には大幅な遅れが発生した場合、遅れを取り戻す確率よりも遅れが拡大する確率の方が高いような気がします。
ただ遅れが戻って払い戻しが無くなったことばかり印象に残り、逆に遅れが拡大して払い戻し対象になったことはなかなか話題に上がることはありません。
そういったことの積み重ねで払い戻しさせないために早く走っているみたいな噂話が出回ってしまうんでしょうね。
運転士が会社から119分遅れにしてくれと言われることはなく、あくまで自分の為に速く走らせることもあることを知って貰えたと思います。
裏話
一昔前ってはよ走って遅れを返せって感じで言われることもありましたが、最近は無理な回復運転をせずに安全側で運転するようにって言われるようになりましたね。
まぁきっかけは言わずもがなあの事故からですが…
やっぱり余裕の無い運転は失敗の確率を上げちゃいますからね。
大幅に遅れたらなにやっても一緒やからいつも通りの運転でってぐらいの温度感がちょうどいい感じですね。
コメント
結論からすると、ケースバイケースといったところでしょうか?JR各社の特急(新幹線を含む)では、自由席特急券もあるので、ここの場合はどの便に乗ったのかは不明となる事から、明らかに2時間以上の遅延が多数ある時は、実際の利用便が2時間以内の遅延に関わらず特急券払戻対象となるケースもあるようです。事実、東海道新幹線静岡地区停電による大規模なダイヤ乱れで、実際に利用した新幹線の遅延が約1時間強ぐらいであったにも関わらず、自由席特急券であるが故に自動改札機には遅延払戻証明が印字された自由席特急券が返って来て、窓口に行ったら特急料金分が全額返って来ました。
1時間で返金して貰えたのはラッキーですね。
こう書くとルール外なのにと批判が来るかもしれませんが、手間を省くためにルール通りに運用していない鉄道会社側の問題で、お客さんとしてはその恩恵にあずかるのは問題ないであろうと思いますね。