はじめに
駆け込み乗車。
これだけでもイラッとするできごとですが、さらにあんな行動をとる輩には殺意がわきます。
貴方が怪我をするだけならどうでもいいですが、他人を巻き込んで大惨事になることもあります。
最後までご覧頂ければ、なぜこんな危険行為がまかり通っているのか乗務員しか知らない事情を知って貰えると思います。
この動画では、危険行為・車掌の過失か?・見かけたら?・車掌はどうなるの?の4点に絞って解説します。
それでは出発進行。

危険行為
まずはこちらの投稿をご覧下さい。
皆さんなにか違和感に気付きますか?

投稿者さんの説明にもありますが、ドアに杖が挟まっている状態で電車が走行してしまっています。
これめちゃくちゃ危険な状態です。
説明ではお爺さんが閉まりかけのドアに杖を突っ込んできたと書かれていますが、この行為は老若男女問わずやってしまう輩がいます。
目の前の電車のドアが閉まりかけている。
自分が走っても間に合わなさそう。
せや、なんか挟んだらドアが開くやろうと考える人が一定数います。
今回のように杖、雨の日なら傘、手に持った鞄などなど。
精一杯腕を伸ばしてなにかを挟んでくるので、車掌的にはかなり殺意がわく行為になります。
電車に乗った時に誤って挟んでしまったんじゃないの?と思われる方がいるかもしれませんが、その場合持ち手が車内で先端が車外の状態で挟まることになります。
この画像のように持ち手が車外で先端が車内にある場合、明らかに外から挟みにきていることが推察されます。

この状態のなにが危険か皆さん分かりますか?
まず1番危ないのは荷物を挟んできた人。
電車が動いてしまったとき咄嗟に手を離せばいいですが、引き抜こうとしたり、手を離せない状況が発生する可能性があります。
電車はドンドン加速したとき人間が同じ速度で移動できるわけないので、やがて転倒したりホーム端部の柵などに衝突すればそこで発生しているのは人身事故です。
で、会社的に一番ややこしいのは第三者が怪我をする事態。
挟まったものが加速してホーム上にいる人に接触。
駅間途中の構造物に接触して破壊され、その破片が周辺にいた人に接触。
身構えていない状態でなにかが飛んでくるので相当な衝撃がくることが予想されます。
ってことをお話しすると確認していない車掌が悪いという話になるでしょう。
確かに突き詰めればそういう話になるわけですが、車掌の責任にしたとしてもこのトラブルは防ぐことができません。
その理由をお話しします。
車掌の過失か?
今回のトラブル。
私は完全に貰い事故であると考えています。
皆さんに分かりやすくするために、車を運転していると置き換えてお話ししましょう。
今、あなたは自動車を運転して優先道路を走行しています。
当然制限速度でルール通りに走っています。
すると突然、交差する道路から歩行者が飛び出してきました。
すぐさまブレーキを踏むも間に合わず歩行者と接触、相手に怪我を負わせる事態となりました。
これ誰が悪いですか?
法律的には当然、人を撥ねてしまったドライバーが悪いわけで、警察に捕まって刑事罰なり行政罰あまつさえ民事罰を受けることになります。
でもドライバーは絶対に、ブレーキをかけても間に合わないタイミングで飛び出してきたやつが悪いって主張しますよね。
で言い返されるわけです。
飛び出してくるかもしれない運転をしていないお前が悪いと。
今回のトラブルも同じです。
ドアに杖を挟んでいることを確認していなかった車掌の過失になるのは間違いありませんが、そもそもの原因を作ったのは誰やねんって話です。
確かに見ていなかった車掌は悪いでしょう。
でも現実問題として、いかなる場合でも車掌がすべてのドアの状況を確認できるかと言われればそれは不可能です。
まず皆さん、電車の1番後ろから1番前まで何メートルあるかご存じですか?
会社により差異はあるにしても、通勤電車の1両当たりの長さは20m前後のものが採用されています。
で、これが一杯つながって10両編成だと200m、15両編成だと300mになります。

皆さん、200m先、300m先の杖が見えそうですか?
東京スカイツリーの展望台は350m、あべのハルカス展望台は300mなんですけど、皆さん展望台に上った時、地上にいる人を見てあんなに人が小さいよって感想になると思うのですが、その人が手に持っているものはなにか当てろって言っているようなものなんですよ。
しかも駅のホームなんて多くの人や構造物が邪魔になる、ホームが曲がっている、太陽・雨などの気象条件や夜間など、見通しが悪くなる要件が多々あるので一番前まで直接見通せない駅なんてごまんとあります。

そして長さだけではなくてドアの数。
通勤電車では大抵、1両当たり3枚ないし4枚のドアが付いています。
つまり10両編成で40枚、15両で60枚みたいな数になってくる訳です。
全部のドアになにも挟まっていないことをチェックしろなんてかなり高難易度なことを言われているのが分かって貰えるでしょうか?
こういえばITVモニターがあると言われるのですが、どれだけカメラを増やしたとしてもカメラの死角が発生するので完璧なものではありません。

私も過去の経験上、こういった輩に多数遭遇しましたが、挟んでいるものを確実に視認できたかと言わればそうではありません。
ドアが閉まる前に走ってきて、閉まったにも関わらずドアのところで変な挙動をしている。
違和感を抱いてドアを開け直すわけですが、恐らくなにかを挟んでいるのでしょう。
これがもし人がごった返していたり条件が悪く見えていなければ、私も同じトラブルに見舞われていたことは容易に想像できます。
電車に人が近づいている中、発車させるのはおかしいという声もありました。
ホームの端から黄色線までって80~100cmぐらいなんですけど、人間の腕って大人で70cm前後、杖は体格によって使う長さが異なりますが、70~80cm程度。
つまり腕を伸ばして杖を差し出してきたら140cmぐらいのリーチがあるので、体本体は黄色い線の内側にいた状態でドアに杖を挟みにいけるので、必ずしも電車にビタビタに人が接近しているかと言われればそうでないケースもあります。

ちょっと電車に詳しいひとなら電車のドアの異物検知は動作しないの?と疑問に思われるでしょう。
確かに電車のドアは異物検知できます。
ただその異物は皆さんが思うサイズ感ではありません。
この手のドアに何かを挟んでくる輩は、コンビニの自動ドアであったりエレベーターのドアで成功体験を積んで、電車でも応用してきているのでしょう。
でも残念ながらそれらのものとは異物を検知する仕組みが全く異なります。
電車のドアには電気で動くものと空気で動くものがあります。
前者は1cm程度、後者は3cm程度以上のものを挟まないと異物であると検知できません。
車両によっては1cm以下でも検知できるものもありますが、かなりのレアケースです。
ただこれはあくまでドア本体の開いている幅の話です。
電車のドアって先端がお客さんに当たっても怪我をしないようゴムで保護されているので、異物を挟んだ時このゴムが縮んで厚さを吸収する罠があります。
結果、傘や杖は当然検知できない訳で、下手すら子供や女性の細い手首を挟んでも検知できない可能性すらあります。
なので皆さんが思っている以上の厚さのものを挟まないと検知できないのです。

こういった不幸が重なっているわけですが、挟んでいるかもしれない行動をしていない車掌が悪いと言われるのが現実の話です。
参考として、画像からどこの鉄道会社でのトラブルなのかは推察でき、この会社の運用が悪いから起こったという声がありますが、どこの鉄道会社でも何かを挟んで発車する事案は定期的に起こるので、あんまり関係ないですね。
では皆さんがこのような状態を見かけたらどうしたらいいでしょうか?
見かけたら?
もしホーム上でこの杖が挟まっている状態で走っている電車を見かけた場合、まずは電車から離れて身の安全を図り、ホームにある非常ボタンを操作してください。
その後電車が止まり駅員や乗務員が飛んでくるので、事情を説明してもらえればありがたいです。
逆に車内でこの場面に遭遇した場合、車内にあるSOSボタンを操作してください。
これで乗務員に異常を知らせることができるので、ここでも事情を説明して下さい。
人によっては気を利かせて車内側に引っ張ろうとする方がいるかも知れませんが、下手に触るとなにが起こるか分からないので、電車が止まるまで触れない方が賢明です。
基本的な対応は、まずはご自身の安全を確保して駅員や乗務員に知らせるのがセオリーです。

車掌はどうなるの?
皆さん一番気になるのは車掌がどうなってしまうのか? ということでしょう。
先述もしましたが、どれだけお客さんが悪いと抵抗しても、このトラブルの責任は車掌に背負わされます。
とりあえずは乗務を離れて別室で事情聴取して報告書作成。
誰かを怪我させているのかいないのかによって罪の程度が異なりますが、まぁ指導ないし再教育は免れないですね。
とはいえ、ネットの海で騒がれているだけで会社に通報が行っていなければ車掌がどうこうなることはありませんが、杖を挟んだ人や画像を見た第三者が会社や行政機関に通報した場合、調査が入るのでまぁ無事では済まないでしょうね。
私から最後に言いたいことは、当然ドアに杖を挟んでいるのを見ていなかった車掌が悪いのは間違いありません。
とはいえどれだけ頑張ってみても見えない・見落としは発生するのが現実で、車掌だけでこのトラブルを防ぐのは不可能です。
無理な駆け込み乗車はやめて頂き、あまつさえ物を挟む危険行為は絶対にやめて頂きたいと思います。

裏話
ドアにものを挟む輩がいたとき、大抵の車掌はドアを開けて挟んでいるものを取ろうとします。
まぁこれがセオリーなんですが、私は基本的にはドアを開けません。
とりあえずは本人が頑張ってものを引き抜くのを待って、ダメそうなら私が走ってドアを手で開けに行きます。
じゃないとドアを開けなおしたら、そいつは電車に乗れて向こうの思うつぼじゃないですか。
まずは恥をかいて貰って、電車にも乗せない。
成功体験は積ませない方が今後のためと思いますね。

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