運転士への道のりPART.10 見習い運転士の第一歩

運転士になるまで

見習い初日


運転士見習いがまず初めて電車に乗ってやること。
それは線路の地形を覚えることと、喚呼を覚えるです。
師匠が運転している横で一緒に乗務して、色々なことを教えて貰います。

線路の地形を覚える


地形と言われれば、線路が上っている所下っている所カーブしている所と思われると思いますがそれだけではありません。
どこに踏切があるのか?信号機はどこにあるのか?駅ごとに異なる電車を止める基準など、自身が担当する線路を運転するにあたって必要な情報を覚えます。
今までは車掌として乗務していた路線なので、いつも減速していた区間には制限があるんだなとか、大体どの位置に踏切があったなと多少知っている知識もありますが、どこにどんな信号機があるとか、ここの駅には実は若干の勾配があったなど全く知らないことも多いです。
車掌として乗ってれば分かることも多いんじゃないのと思われるかも知れませんが、電車の前に乗っている運転士と、後ろに乗っている車掌なら見えている景色も違いますし、何より仕事内容が異なるので、分からないことの方が多いですね。

ここから上り坂、加速しなければ…

喚呼を覚える


初めての頃はまずはこれが鬼門です。
電車を運転するにあたって無言で運転することは無いです。
例えば信号機を確認すれば「閉そく進行」とか、電車の速度を落とさないといけない箇所なら「制限45」などなど、運転士は電車を運転しているときに確認したことは、指で視差して声に出して喚呼しないといけません。
出発進行とか聞いたことがある文言がたくさん出て来て簡単そうな感じがしますが、話はそう簡単なことではありません。
信号、標識など線路上のありとあらゆるものを見たときに喚呼を行います。
なので短い区間で信号機が乱立している区間、カーブが連続して速度制限がかかる区間、踏切が連続する区間などずっーと何かを確認しては喚呼をする地獄の区間もあります。
さらに同じ信号機だとしても、分岐する箇所に設けられた信号機などその信号機・標識だけ、他のものと違う喚呼をするなど特殊なルールもあり、それを全て暗記する必要があります。
まぁでも見て喚呼すればいいだけやんと思われるかもしれません。
なのになぜまず1つ目の関門と言えるかといえば、先程の線路を覚えることにも通じますが、どこにあるのかが分からないからです。

第一場内進行

鬼門の訳


信号や標識は大体の場合電車の進行方向に向かって左側にあります。
でも場所によっては右側にあります。
さらに線路が直線で大分手前から見えているものもあれば、カーブで直前まで見えないこともあります。
どこになにがあるのかが分からないので、まずは喚呼する前に探す作業から始まります。
見習いは、探す→見つける→確認→喚呼のプロセスを踏んでやっと終わりますが、師匠はどこに何があるなど当然頭に入っているので、確認→喚呼のプロセスだけなので、私よりも圧倒的に早く喚呼することができます。
なので横で師匠が閉そく進行と喚呼しても、私はまずその喚呼した信号機はどこ?ってなるわけです。
信号とか光ってるから分かりそうやんと思われるかもしれないんですけど、これが見えないんですよね。
特に昼間は周りが明るいので、見つけても馴れていないうちは太陽光が反射したりしてあれ光ってるの?ってなります。
皆さんも車を運転していて太陽が反射して信号が見えにくかったり、全く見えなかったりした経験があると思いますが、そんな感じです。
じゃあ夜やったら楽勝?ってなりそうですけど、それで話は全て丸く収まりません。

次の信号機はどこにある?

見習いが引っかかる罠


確かに夜は外が真っ暗で信号は光っているので、単純な見やすさで言うと見やすいです。
でもそこに見習いの落とし穴が隠されています。
私も同じミスをしましたが、目の前に緑色が見えたんですよね。
なので意気揚々と閉そく進行って喚呼した訳です。 
でも横の師匠に叱られました。
なんで?と思ったら、その訳が近づいてきて私が喚呼したのは電車の信号機ではなくて道路の信号機でした。
線路に平行している道路の信号機を間違って喚呼するのは、見習いあるあるです。
特に夜間は光っている信号を遠くから確認しやすく、しかも道路の信号機は電車用よりも大きいので遙か遠くからよく見えるんですよね。
昼間ならそこまで遠くの信号機は見えないですし、しかも道路に建ってるなと見えるのでこんなミスは犯しませんが、夜なら周りがよく見えずしかも信号が光ってると条件反射で喚呼してしまいます。
こんな感じで見習いの言い訳を並べましたが、そんなことが分かっている師匠はこんなことには引っかかりません。
どこにどんなものがあるのかが頭に入っているので当然ですよね。
よく信号や標識を覚えるのは形を覚えろって言われます。
遠くから、信号を見たら視界の左下に閉そく信号があって、その上に踏切の信号で、その右に場内信号みたいな感じで覚えろって言われますがなんのことか私にはさっぱりです。
まぁ場数をこなせば出来てくることなんでしょうけど私にはまだまだですね。

裏話

師匠と一緒に乗って1勤務、2勤務目はまだまだ運転台に平和な空間が広がっています。
お互いに雑談をしながら、いろんなことを教えて貰う。
間違ってたとしても、違うでこうやで~って訂正されるぐらいですが、これが3勤務、4勤務目になってくると話が変わってきます。
雑談の内容もつきますし、いい加減に覚えてこいやって雰囲気に豹変
怖い、怖い…
まぁ1日中一緒にいるからしゃーないですよね…
下手すれば家族といる時間より長いんだから…

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