はじめに
皆さんはこの冬の寒い時期なのに、運転室の窓を全開にしている運転士って見たこと無いですかね?
頭がおかしくなったわけではありません。
そこには運転室の冬のちょっとした事情が隠されています。
解説します。
それでは出発進行。
質問
こんな質問を頂きました。
気温が氷点下になるほど寒いのに乗務員室の扉に付いている窓を1〜2cmほど開けながら乗務されている運転士がいるのはなぜですか?
回答
窓を開けて走る訳
最近はコロナの換気のためっていう場合もありますが、単純に運転室が暑いからです。
冬の時期に電車に乗ると座席の足元から暖かさを感じると思います。
座席の下にヒーターがあってそれで車内を暖めているわけですが、運転室も同様で足元からヒーターで運転室を暖めています。
運転室を暖めすぎると段々暑くなってくる訳ですが、暑いなぁとなれば窓を開けて温度調節を行います。
暑いんやったらヒーターを切れよと思われるかも知れませんが、そうは簡単な話ではありません。
ヒーターを切らない訳
ヒーターを簡単に切らない訳。
それは次の交代の人に怒られるからです。
電車はずっーと1人の運転士・車掌が乗務するわけではなく、適宜交代しながら走ります。
そして折返し駅に着けば運転士と車掌はお互いの位置を交換します。
そうなると今、自分がいる運転室はこの後別の誰かが使用することになります。
自分は暑いと思ってヒーターを切ったら、次の人は逆に寒いと感じるかもしれません。
そうなればなんでヒーターを切ってるねんとお小言を頂戴することになります。
寒かったら自分でまたつけろやと思いますが、温まるのに時間がかかるのでそれが嫌がられますね。
他にも運転室を暖めすぎると眠たくなってくるので、少し窓を開けて冷たい風を頭に当てて寝ないようにして、足元ポカポカ、頭ヒンヤリで運転したいとか、ヒーターを切ると寒いでも入れると暑いみたいな微妙な感じのときも窓を開けて温度を調節したりします。
窓を開けて走る訳は色々ありますが、突き詰めると温度調節をしたいが為に窓を開けています。
車みたいに細かく温度調節が出来たらいいんですけど、電車のヒーターは基本的に点けるか消すか、あとは強弱を調節できるぐらいなので、細かい温度調節ができないんですよね。
とまぁこんなことが出来るのは性能が良い電車だけです。
ポンコツ電車に当たればこんなことをする必要はありません。
ポンコツ電車は辛いよ…
運転室が暑くなるか否かは、その電車のヒーターの強さと隙間の多さによって決まります。
めちゃくちゃヒーターがよく効いて隙間の少ない電車の運転室はすぐに暖まりますが、逆に全くヒーターが効かず、隙間だらけの電車の運転室は外かなと誤解するぐらい寒いです。
そんなポンコツ電車だと窓を開けるなんてことはありません。
だっていくらでも外からの空気が入ってきますからね。
特に特急など速い種別は最悪で、スピードを出せば出すほど隙間風が入ってくるのでマジで終わってます。
ちなみにこんなポンコツ電車はお客さんでも分かる方法があって、それは1両目と2両目の温度差が激しい電車です。
運転室に入った冷たい風はそのまま客室まで冷やすことになるので、編成の1番前の車両も同時に寒くなります。
なので2両目の以降の車両と大きな温度差が出来ます。
この車両だけヒーター止まってるのかと誤解するくらい寒いので、寒いのが苦手な人は他の車両に乗った方が良いと思いますね。
さて今回は冬でも運転室の窓を開けっぱなしにして運転している謎について解説しました。
ヒーターがよく効いて密閉性が高い電車は暑くて窓を開けている場合があり、逆にヒーターが効かず隙間だらけの電車はそんなことが出来ないことを知って貰えたと思います。
裏話
運転室に1人の時って自分の温度感で調節すればいいんですけど、そうじゃないときがあるんですよね。
例えば見習い期間で横に師匠がいるとか、助役が横に乗って来たとか、誰か他の人がいるときがあるんですよね。
でその人が暑いなとか寒いなとか言われると、ペーペーとしてはそれに対応しないといけないじゃないですか…
自分は寒いと思っているのに、窓を開けられたりヒーターを切られたりしたらちょっと腹立ちますね…
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