地震が発生したとき鉄道会社で行っていること【ゆっくり運転士のひとりごと】

ひとりごと

はじめに

最近地震が本当に多いですよね。
皆さんが電車に乗っているとき地震が発生したらどうなるのか?
また私達がやっていることを是非皆さんに知って貰いたいと思います。
鉄道員しか知らないことを解説します。
それでは出発進行。

地震発生

最近は大きな地震が発生すると、揺れが予想される地域に対して緊急地震速報が流れると思います。
さらに鉄道会社では沿線の各地に自社の地震計を設置しており、地震を検知できるようになっています。

地震計が沿線に設置されています

鉄道会社が緊急地震速報を受信したり地震計で地震を検知すると、走行する電車に対して指令無線を通して緊急停止の指示が飛びます。
運転士はこの緊急停止の指示を受けたり自分自身で地震の揺れを感じたときは速やかに電車を停止させることになります。
基本的には直ちに非常ブレーキを使用して電車を止めるわけですが、時によってはブレーキをかけないときがあります。
というのも緊急停止した結果、橋の上やトンネル内で止まってしまうとさらなる危険を呼んだり、お客さんの避難誘導が困難になったりする可能性があるので、それらを避けた位置で停止するために直ぐにブレーキを取らなかったりもします。
このあたりは鉄道会社によって色々異なり、一旦止まってから最徐行で移動させるなど様々です。

橋の上で長時間停車しないように移動させたりもします

停止後は?

電車が停止した後は地震の規模によって手順が異なります。
緊急地震速報を受信したけれども揺れが無かった又は小さかった場合は直ぐに運転再開となります。
震度4程度の地震であった場合、暫くの間徐行運転を行います。
この時運転士が線路や電路に異常が無いことを電車を運転しながら確認し、異常が無いことが確認されれば各電車は通常の速度で運転することが出来ます。 
震度5以上の大きな地震が発生した場合、運転再開まで相当時分かかります。
というのも、線路を歩いて点検しないといけなくなるからです。
普段線路の保守点検を行う鉄道員が線路の点検を行うわけですが、広大な路線であればあるほど時間がかかります。
保線屋さんは普段は保線区に待機していたり、日常点検で各線路の巡回を行っています。
大きな地震が発生した場合、保線区から数人のチームで各線路に散っていきます。
移動には車を使って行ったりするわけですが、地震の影響で道路が混雑していると現場到着まで相当時間がかかります。
そして線路を歩きながら、線路、電路、橋梁、トンネルなど鉄道施設の損傷。
土砂崩れや倒木など自然災害が発生していないかを確認する必要があります。
多くの人員がいたとしても点検しながら線路を歩くとなるとかなりの時間を要し、1時間2時間で電車が動き出すってことはほぼ不可能です。
点検の為に最低でも半日、1日といった長い時間電車を止める必要があります。
しかも点検の結果、橋が崩落してたとか、山の土砂が崩れて線路に覆い被さっているとかってなればその日の運転再開は絶望的になります。

線路・電路・橋梁・トンネル等の点検を行います

別の鉄道会社は動き出したのに?

さて皆さんが電車の運転再開を待っていたら、運転再開している鉄道会社があるのに乗りたい鉄道会社はいつまで経っても運転見合わせって場合があるかも知れません。
というのも今の地震は市区町村別に細々と震度が計測されていると思います。
なのでA市は震度5弱で、隣り合うB市は震度4みたいなことがあると思います。
そうなればA市を走っている鉄道会社は徒歩での線路点検を、B市を走っている鉄道会社は徐行で点検をといった風に近くを走っていても点検の仕方が変わってくるときがあります
さらに徒歩での線路点検をするにしても走っている路線で一部の区間でも震度5以上なら全線徒歩点検する会社もあれば、震度5以上であった場所だけを徒歩点検して点検時間を短縮する会社もあります
こんな感じで震度別の点検の方法や区間はそれぞれの会社で基準が全く異なるので、近くの鉄道会社が運転再開したとしても自分が乗りたい鉄道会社がすぐに運転再開するとは限りません。
駅員や乗務員からの案内も運転再開はいつになるか分かりませんとなるので、お客さん的には今後の見通しが立たず腹立たしいことかも知れません。
地震で様々な部署が混乱している中、駅員や乗務員も中々リアルタイムな点検状況の情報を手に入れることは正直出来ません。
とはいっても裏では様々な部署の人が安全に電車を走らせるため精一杯対応をしていることを知って貰えれば幸いです。

裏話

私が駅員時代、少し大きな地震がありました。
当然電車は全てストップ。
案の定徒歩での線路点検を実施するとなりました。
ホームには多くのお客さんがいる時間帯だったので、絶対囲まれてご意見の嵐やなぁと構えていたのですが、案内放送をしたら特に何も言われませんでしたね。
多分大きい揺れやったと皆分かっていたので察してくれていたんですかね。
運転再開までホームのベンチや階段に座り込んで待っててくれたので本当に助かりましたね。

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