運転士への道のりPART.11 電車を初運転

運転士になるまで

初運転は唐突に


線路の地形と喚呼を覚えることをができたら、いよいよハンドルを持ちます
回送列車から練習する?そんなことはありません。
いきなりお客さんが乗っている営業列車を運転します。
ここまでの期間で本物の電車を運転することはありません。
精々シミュレーターぐらいです。
そんな超ド素人が、いきなりお客さんが乗っている電車を運転します。
乗っているお客さんには申し訳ないですが、牲になって貰います。
喚呼を覚える期間で横で師匠の運転を見ていましたが、やったことと言えばそれだけです。
運転席に座っていきなり「ブレーキ緩めて、ノッチ持って」って言われます。
言われたとおりにブレーキを緩めて、電車のアクセルであるノッチを握って電車を動かし、ここでちょっと感動を覚えます
そんな感動をしているのもつかの間、直ぐに次の指示が飛びます。
「60キロでオフ」と言われれば、60キロになったのを確認してノッチを戻します
で、駅に近づいてくればブレーキ5ステップと言われるので、言われたブレーキの強さにして電車を止めに行きます
こんな風に聞いているとなんだ簡単そうだなと思われるかも知れませんが、電車を運転させるにはノッチとブレーキを操作するだけではありません
線路の前方の状態を見ながら自分で確認した信号、標識を1つ1つ声に出して喚呼していきます。
でも前方を見ながら喚呼に気を取られていると、電車の速度が段々と上がってくるので、気付けばノッチを戻すのを忘れて速度が出過ぎてしまっていることも多々あります。
初めての頃は前も見ながら速度計も見ながら両方に気を配らないといけないのでかなり厳しいです。
経験を積めば速度計を見なくても大体の速度が分かるので、私のように速度計を凝視しなくても自分が思った速度でノッチをオフにすることができます。

ハンドル・ブレーキ・速度計 色々なことを見たり操作しながら運転

ガチでやばいとき


横で師匠が口出ししてくれるとはいえ、時には危ないときがあります。
ブレーキをかけるのが遅れて、駅を過走しそう、速度を落とさないといけない箇所で速度を落としきれない、などなど速度が速くて本当にヤバいときがあります。
そんな時は私の右横にいる師匠の手が飛んできてすぐさまブレーキをかけに来ます。
なのでド素人が運転してるから、電車が危ない状態になっているわけではないので安心して下さい。
で、ここで地味に疑問なのが、危ないときこれ師匠がブレーキ取れる?って疑問に思う車両があるんですよね。
関西圏の電車ってノッチとブレーキが別々でブレーキが右側に付いている電車か、ノッチとブレーキが一体になって運転席の真ん中に付いている電車が多いんですよね。
なので危ないときは見習いの右側に立っている師匠の手でブレーキを取ることが出来ます。
でも関東圏の電車で運転席左側にノッチとブレーキが一体型になっているのがあって、特にJRの車両に多いと思うんですけど、師匠の手がブレーキまで届くのか?ちょっと疑問に思いますね。

師匠が左に立って右側のブレーキに手が届く?

初運転の感想


正直、疲れた以外の感想はないですね。
久々にあそこまで疲れる仕事をしました。
おかげで明けの日は家に帰って速攻で寝ましたね。
横から師匠の指示を聞きながら電車を動かす。
馴れないことなんで疲れるのはあたりまえですよね。
しかも言われたことを暗記していかないといけないので、余計にしんどかったです。
普通の仕事なら先輩から教えて貰ったことは、すぐメモして分からなければ後で見直しなさいって言われるとおもいますけど、電車を運転していたらそれは無理です。
横から色々言われながら、前方の安全を確認しながらメモを取る。
はい無理です。と言うか運転中にブレーキから手を離すわけには行かないので倫理的にダメですね。
なので休憩時間でさっき何を言われたかな?って復習がてらメモ書きをするんですけど、運転することに必死なんで色々忘れてるんですよね。
で、次の電車に乗ったときにそこが出来なくて怒られる。
辛いとこですね。
まぁでも怒られた方が覚えやすいので、そこは割り切っていくしかないですね。
何回も何回も同じことをひたすらに繰り返して頭だけではなくて体に覚えさせる
その為に長い見習い期間があるので、今は怒られてひたすら耐える期間ですね。
ひとまずは無事に初運転が終わったわけですが、これからまだまだ勉強していく期間になります。
師匠だけでなく、多くのお客さんにも迷惑をかけて乗務していきます。

裏話

師匠にブレーキを取られるってことは、自分の手の上に重ねられるってことなんですよね。
まぁ私は特にどうも思わないですけど、師匠が男の女の子はどう感じてるんかなぁと思って何人からか聞いたら、如実にその師弟感が表れてておもろいですね。
嫌やったって人は大体師匠が嫌いですし、キュンとしたみたいなこと言ってる人は師匠との仲も良好ですし、やっぱり人間関係で何かされたときの印象って異なるんですね…
まぁ最近は見習いが女性なら、師匠が女性になって異性師弟も少なくなってきていますけどね。

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