はじめに
電車の運転士が絶対に持っている運転時計。
未だにアナログが使われている訳を、圧倒的デジタル派の私が、なぜアナログ時計?・デジタルの方が良くない?・会社のルールの3点に絞って解説します。
それでは出発進行。

質問内容
こんな質問を頂きました。
列車の運転台に置かれるのはなぜ今だに懐中時計なのですか?
今回はこれにお答えしましょう。

なぜアナログ時計?
運転士が持っている時計。
皆さんが持っているイメージはこれだと思います。

大体の鉄道会社ではこのSEIKO製の懐中時計が使用されています。
運転士は出勤したときに時刻を合わせて、乗務中は電車の所定の場所に置いて逐一時刻を確認するために使用します。
ちなみに駅員や車掌はこの懐中時計の代わりに腕時計を貸与されている場合もあります。
さて会社から支給されるこれらの時計。
今の時代、なんでアナログやねんと疑問に思われた方。
私もそう思います。
時計と鉄道の歴史は古く、明治時代に鉄道が初めて開通しその後どんどんと運転本数が増えることになります。
そうすると正確な時刻での列車運行が要求され、最初は海外メーカーの時計が使用されることになります。
時代は進み昭和に入った頃に国産初の鉄道時計に今のSEIKOの時計が指定され、各社この時計を使い始めた経緯があります。
こんな昔に当然デジタルの時計なんてものはなくアナログな訳で、昔からの伝統・信頼性・正確な精度が好まれて現代でも鉄道会社、特に運転士はアナログの懐中時計を使用しています。
再び断りますが私は圧倒的にデジタル派で、動画の構成上アナログのことを一応擁護しますが本意では無いことを先に断っておきます。
アナログ時計を未だに使う理由。
それはデジタルだと狂うからです。
電車を運転するにあたって特に、架線の下は強力な磁場が発生しています。
あとは電車に付いている機器からのノイズ。
これらによってデジタル時計は狂う恐れがあるって話を聞いて、私はそんなわけあるかいって思いました。
確かに、架線の直下にいるとデジタル時計の中でも電波時計は電波の受信が出来ませんが、実際にデジタル時計が狂ったなんて見たことはないです。

アナログ時計を未だに使う理由。
それはアナログ時計の方が精度が高いからです。
運転士の時計がズレて早発してしまうなんてしてはいけません。
SEIKO製の時計は正確に時刻を刻むことができ、一度時刻を合わせれば長い間時刻がズレることはありませんって話を聞いて、デジタル時計がズレるってどんな時計を使ってるねんと思いました。
アナログ時計だから正確に時刻を刻めるなんて嘘で、正確には手入れされた時計が正確に時刻を刻めるって言うのが正しい表現です。
時計なんて所詮会社からの貸与品なのでコンディションは個体ごとに異なります。
酷いやつなら1勤務で数秒ずれてしまうようなポンコツ時計もあるぐらいなので、アナログ時計やから精度がいいなんて嘘八百もいいところです。
で、時間を正確にするために毎勤務ごとに時刻合わせをしているのだから、アナログであろうとデジタルであろうとどっちでもええやんと思いますね。
アナログ時計を未だに使う理由。
それは現在の時刻から未来の時刻の差が分かりやすいからです。
個人的にはこれが1番理解しやすいですね。
電車を運転していると次の駅まであと何秒で走らないといけないのかと知りたい時があります。
特に停車駅に電車を止めにかかっていて、ちょっと早着気味の時に時刻を調整したいときは時計を見ながらブレーキを調整していきたいので、そんな時はアナログの方が直感的にあと何秒かが分かりやすいですね。
ただ駅間で次駅との差を知りたいときは、アナログの利点は少ないかなぁと思います。
アナログ時計だと秒針を見たときにその角度からパッとあと何秒だなと直感的に分かりやすいと言いますが、分かりやすいのは秒針ぐらいですし、スタフには数字表示なので何分単位の差を知りたいなら結局は頭の中で計算するのであんまり意味が無いような気がしますね。
アナログのメリットはこれぐらいだと思いますね。
では私がなぜデジタルを推しているのか。
次にデジタルのメリットを解説しましょう。
デジタルの方が良くない?
デジタルが良いわけ。
それはなによりすぐに時刻を知れるからです。
アナログ時計を見てあなたは何秒で現在の時刻を知れますか?
大体の人は9時、、11分、25秒ぐらいの温度感で、時刻を知るために数秒を要すると思います。
その点デジタルはそのまま時刻を読めば良いだけなので、早さは圧倒的にデジタルに軍配が上がります。
デジタルが良いわけ。
それは読み間違いがないからです。
アナログ時計をパッと見て今、43分?それとも44分?って経験は無いですかね?
針で時間を指し示しているので、微妙な場所を指し示している時間があります。
さらに時計を見る角度によっては針の見え方が変わるので、そういった瞬間に見間違う場合があります。
先程の理由と併せて、アナログ時計では正確に時間を見るためには数秒かかるわけで、じっくり時間を確認するなら良いですが、電車を動かす瞬間に今何秒やっていうのに時間がかかるのはせっかちな私からしたら少しフラストレーションがかかることになります。
それならばデジタルでパッと今の時間が分かる方が嬉しいですね。
デジタルが良いわけ。
それはアラームなどの機能が充実しているからです。
アナログ時計でも同様の機能が付いている物もありますが、無い場合も多々あります。
特にアラーム機能。
乗務員をしていると休憩時間にちょっと仮眠を取りたいときがあります。
そういった場合、アラームを設定しておくことで次の担当列車に遅れること無く起きることが出来ます。
スマホでアラームを設定しておけと思われるかも知れませんが、会社によっては休憩時間に自由にスマホを触れるとは限らないのでそういったときには時計のアラーム機能はとても助かることになります。
こんな感じで私は仕事で使う時計はデジタルの方が良いわけですが、それが出来ない場合もあります。

会社のルール
まず、大前提として会社がどの時計を認めているのかは会社によって異なります。
先述もしましたが基本的には時計は会社から支給して貰えます。
特に運転士の運転時計はどこの会社でも支給して貰えるので、それを使用するしかありません。
で、支給されるのは当然アナログ時計なのでデジタル派は諦めるしかありません。
そして運転時計ではなく腕時計なのですが、これは会社によって異なり自前で用意しろの場合もあります。
派手じゃ無ければ自分で用意した物でも良いよって会社なら、デジタルでもなんでも自分で好きな時計を付けることが出来ます。
とは言ってもスマートウォッチはダメですよ。
仕事で使う物を自分で用意させるのはどうかと思いますが、自分好みの時計を付けられるならそれも良しですかね。
鉄道会社では昔からの流れでアナログ時計を使うのが一般的ですが、個人で好きなのを付けても良い会社なら腕時計ぐらいはデジタル時計を使うことも出来ます。
アナログ時計のメリットもあるのでしょうが個人的にはデジタル時計の方が好きなので、運転時計もデジタル時計バージョンをメーカーに作って頂きたいとお伝えして動画を締めくくりたいと思います。
裏話
私も鉄道会社といえばアナログ時計やろと思って最初は意気揚々とアナログ時計にしてましたが、ホーム立ちをしていて電車を発車させて良いのか否か、時刻を確認したとき「今44?45分?」ってなることが多々あって、数秒のことなんですけどそれが耐えきれずそれからはデジタル派になりましたね。
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